研究課題/領域番号 |
22K17030
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
嶋田 勝光 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (10782120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 3次元培養 / 上皮内癌 / 微小浸潤 / 口腔 / オルガノイド型培養系 / 微小浸潤癌 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔の上皮内癌は角化傾向が高く分化方向が明瞭であり、異型細胞が全層置換を起こす前に浸潤し扁平上皮癌となる。これまで私は正常上皮、上皮内癌や浸 潤癌の分化の差異を角化の観点から見出し、正常な歯肉上皮および分化型上皮内癌の3次元培養モデルを確立した。本研究では患者検体や動物実験では観察の困難な上皮内癌から初期の浸潤癌を再現する3次元培養モデルの確立を目指す。さらに、マイクロダイセクションおよび遺伝子の網羅的解析を用いて、上皮内癌が微小浸潤を示す機構を、一細胞のレベルで詳細に明らかにする。これにより、微小浸潤の判断基準および遺伝子導入を用いた上皮内癌から浸潤癌へ進展させない治療法を確立する。
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研究実績の概要 |
気-液培養を応用した3次元培養系を用いて、各細胞種に対応した組織を構築した。初代培養歯肉由来の正常上皮細胞を用いた錯角化重層扁平上皮様組織、舌扁平上皮癌由来の癌細胞株(HSC-3, HSC-4)を用いた表層分化型・基底細胞型の上皮内癌様組織、アスコルビン酸添加もしくはコラーゲンゲルを併用した初代培養歯肉線維芽細胞を用いた線維性結合組織である。(1):錯角化重層扁平上皮様組織(14日後):傍基底細胞におけるKi-67陽性、基底細胞における少数のp53陽性を示した。CK13・CK17の陰性、CK19の基底層における陰性を示した。(2):表層分化型上皮内癌様組織(14日後):Ki-67陽性細胞の基底第一層への移行像、p53の完全消失を示した。CK13陰性、CK17一部陽性化、CK19の基底細胞様細胞での消失がみられた。(3):基底細胞型上皮内癌様組織(14日後):Ki-67陽性細胞は基底第一層へ移行および多層化、p53の陽性の多層化を示した。CK13陰性、CK17一部陽性化、CK19の基底細胞様細胞での消失が認められた。(4):線維性結合組織:アスコルビン酸添加培地では線維芽細胞を含む結合組織の層化が経時的に認められた。5層に達するに14日、6層に達するに18日、7層に達するに21日を要した。対して、コラーゲンゲルを使用した場合には15層の結合組織を4日間で構築できた。 その後、上記(1)~(4)を組み合わせた上皮組織-結合組織といった二層構造を有する口腔粘膜を模した3次元培養モデルの構築を試みている。一つ目は、錯角化重層扁平上皮組織-線維性結合組織を持つ正常組織モデルである。二つ目は、上皮内癌様組織-線維性結合組織を有する非浸潤型腫瘍組織モデルである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
舌扁平上皮癌由来の癌細胞株(HSC-3, HSC-4)を用いた表層分化型・基底細胞型の上皮内癌様組織は下部に細胞よりも小さい孔径を有するセルカルチャーインサートを位置づけることで、強制的に細胞が表層に向かって分化を示す組織構築が再現可能であった。しかし、上皮内癌様組織-結合組織といった二層構造の作成に際して、癌細胞株を構築した結合組織上に播種することで癌細胞が表層に向かって分化を示す前に浸潤をきたす可能性がある。 したがって、セルカルチャーインサートで作成した上皮内癌様組織の構築を保持したまま剥離し、結合組織上に位置付ける方法を考慮する必要が生じたため、計画が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
上皮内癌-結合組織モデルを構築するため、上皮組織剥離法の検討および上皮内癌由来癌細胞の検索を並列して実施する。
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