研究課題/領域番号 |
22K17034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松岸 葵 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70907386)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | アリルイソチオシアネート / 歯周病 / 抗炎症作用 / 歯周病治療 / バイオフィルム |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病原細菌は環境の変化に対応するため,細菌外にバイオフィルムを作り存在する。そのため歯周病治療には,効率的にバイオフィルムを除去する薬剤の開発が必要であるが,バイオフィルムは構造的に強固で既存抗生剤による除去は困難であり,薬剤耐性菌の出現も課題である。本研究の目的は,天然由来抗菌物質アリルイソチオシアネート(AITC)の“バイオフィルム除去作用”と“歯周病原細菌に特異的に作用する点”に着目し,歯周病予防・治療薬の有効性を明らかにすることである。耐性菌出現の抑制だけでなく,揮発性を利用した広範囲への作用と誤嚥リスクの低減が期待できることから,超高齢社会である本邦でのAITCの臨床応用を目指す。
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研究実績の概要 |
歯周病の有病率を下げるためには,患者の技術に依存せず簡便かつ効率的にバイオフィルムを制御する口腔ケアアプリケーションの開発が必要である。また,歯周炎における歯周組織破壊の急速な促進は,口腔常在菌である歯周病原細菌群に対する過剰な免疫応答の活性と捉えることができるため,炎症応答を適切に抑制するアプローチも検討されている。本研究の目的は,天然由来抗菌物質アリルイソチオシアネート(AITC)に着目し,歯周病予防・治療アプリケーションとしての有効性をIn vitroおよびIn vivoで明らかにすることである。既存の歯周病予防・治療の代替・補助療法として,超高齢社会を迎えた本邦における次世代口腔ケアアプリケーションとしてのAITCの臨床応用を目指す。 まず,In vitroにおいてAITCの歯周病原細菌に対する抗菌活性を検討した。その結果,P. gingivalisに対する特異的な抗菌活性を認めた。また,AITC がP. gingivalis バイオフィルムに対する形成抑制作用を有することが示された。次に,ヒト単球系細胞において歯周病原細菌由来LPS刺激に誘導される炎症性サイトカインの産生が,AITCによって抑制されることが明らかになり,AITCの抗炎症作用が示された。さらに歯周病モデルマウスを用いてAITCのIn vivoにおける歯周病抑制作用を検討した。その結果,AITCの投与により歯槽骨吸収が抑制され,歯周組織中の炎症性サイトカイン遺伝子発現が減少することが示された。 以上より,本研究の成果として,AITCはP. gingivalisに誘導される炎症応答に抑制作用を示し,歯槽骨吸収を抑制することが明らかになった。
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