研究課題/領域番号 |
22K17041
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
蔵本 瞳 徳島大学, 病院, 医員 (70876060)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 根尖性歯周炎 / CAPE / VEGF / 骨芽細胞 / 抗炎症作用 / 抗炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
根尖性歯周炎は、根管内の細菌感染が根尖歯周組織に波及することで惹起される炎症性疾患であり、根尖部の歯槽骨吸収が起こる。血管新生因子であるVEGFは、骨リモデリングに重要な役割を果たしているが、根尖性歯周炎の治療にVEGFを活用した戦略は進められておらず、抗炎症も含めた複合的な治療法の確立が求められている。申請者は、プロポリスの生理活性物質であるCAPEにVEGF誘導作用や抗炎症作用があることを見出した。本研究では、マウス骨芽細胞様細胞 (MC3T3-E1)において、CAPEがVEGF産生および炎症性サイトカイン産生に与える影響を解明することにより新規の根尖性歯周炎治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
根尖性歯周炎は、根管内の細菌感染が根尖歯周組織に波及することで惹起される炎症性疾患であり、病状の進行に伴い根尖周囲の骨吸収が顕在化する。根尖性歯周炎の治療は根管内の病原因子を除去することであり、治療が奏功すれば根尖部の炎症が消退するとともに吸収された骨が修復に向かうが、一方で、通法の根管治療では治癒が見込めないことがある。 Caffeic acid phenethyl ester (CAPE)はプロポリスの生理活性物質であり、抗炎症作用や抗菌作用など多彩な作用を有している。血管新生に関わる成長因子であるVascular endothelial growth factor (VEGF)は、マウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)において、アルカリフォスファターゼ活性や骨分化マーカーの発現を上昇させるという報告がなされており、骨リモデリングに重要な役割を果たしている。近年、CAPEにVEGF誘導作用があることが報告されているが、根尖性歯周炎治療にCAPEを用いようとする試みはない。本研究ではMC3T3-E1細胞へ及ぼすCAPE作用を明らかにすることを目的として研究を行っている。 MC3T3-E1細胞におけるMAPK のリン酸化に関与するCAPEの効果を確認するために、Western blot解析を行った。その結果、CAPEがp38 MAPK、ERK、およびSAP/JNKのリン酸化を誘導することが確認できた。また、CAPE処理後の各種組織修復関連因子発現について解析するためにreal-time PCR解析を行った。その結果CAPEは、VEGFに加えてConnective tissue growth factor (CTGF) およびPlatelet-derived growth factor (PDGF)-αのmRNA発現を有意に誘導することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MC3T3-E1細胞において、CAPEがVEGF誘導に関与するシグナル伝達経路について、Western blot法での解析において、p38 MAPK、ERK、およびSAP/JNKのリン酸化を誘導することが確認できた。 またCAPEは、VEGFだけでなく、組織修復関連因子であるCTGFやPDGF-αの発現を誘導することも突き止めている。現在のところ、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
【ラット根尖性歯周炎モデルにおけるCAPEの歯槽骨に与える影響の解析】 in vitroで得られた結果をもとに、CAPEが歯槽骨に及ぼす影響および安全性をin vivoにて検証していく。Wistar系ラットに実験的根尖病変を誘発させ、マイクロスコープ下で感染根管治療を行い、マイクロCTを用いての歯槽骨の形態の観察や、骨形態計測ソフトを用いての根尖病変の体積については3次元的に解析を行う予定である。
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