研究課題/領域番号 |
22K17042
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
御手洗 裕美 九州大学, 大学病院, 助教 (60801660)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 歯根膜 / IGFBP3 / 歯根膜幹細胞 / IGF / 歯周組織再生 / lncRNA |
研究開始時の研究の概要 |
歯根膜細胞から、多分化能を有する歯根膜幹細胞へ効率的に誘導し、組織再生療法へ応用する方法を樹立するため、本研究では、歯根膜幹細胞の幹細胞特性に重要な因子を、歯根膜幹細胞を多く含む歯小嚢から探る予定である。我々の微量RNAシークエンス解析結果から歯小嚢に発現が高いことを明らかにしたIGF関連因子とlncRNA H19に着目し、in vivo、in vitroの両面から機能解析を行う。歯根膜幹細胞特性への関連も検討することで、IGF関連因子とH19による幹細胞特性の制御機構を明らかにし、より効率的に歯根膜幹細胞を誘導できる歯周組織再生療法を樹立する。
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研究実績の概要 |
歯根膜発生・形成におけるIGF関連因子の発現と機能解析を行ってきている。前年度までに、IGF関連因子のうちIGFBP3(昨年の報告書で因子Xと表記)について、マウス胎生18日齢歯胚に発現し、ヒト歯根膜幹細胞を用いたin vivo実験において、メカニカルストレス(伸展刺激)によって成長因子TGF-β1ならびにIGFBP3の遺伝子発現がコントロール群と比較して有意に上昇すること、TGF-β1刺激下でIGFBP3発現が有意に上昇することを明らかにした。 ヒト歯根膜幹細胞にIGFBP3 siRNAを導入し、機能解析を行ったところ、IGFBP3の遺伝子抑制によって細胞形態が変化した。次にWST-1 assayならびにmigration assayを行ったところ、IGFBP3の遺伝子抑制によって細胞増殖能が促進し、細胞遊走能が抑制されることを明らかにした。また、TGF-β1により促進するコラーゲン産生能への影響を解析するためPicro-Sirius Red染色を行ったところ、コントロール群と比較してIGFBP3 siRNA導入群においてTGF-β1によるコラーゲン産生能が有意に抑制された。さらに、石灰化能への影響を解析するため、石灰化誘導培地下で培養しAlizarin Red-S染色を行ったところ、コントロール群と比較してIGFBP3 siRNA導入群において石灰化能が有意に抑制された。以上のことから、IGFBP3はヒト歯根膜幹細胞の細胞形態、増殖能や遊走能、さらにコラーゲン産生能や石灰化能といった各種分化能に影響を与えてることで、歯根膜組織の恒常性維持に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IGFBP3がヒト歯根膜幹細胞の増殖能や分化能に影響を及ぼす可能性を明らかにできたものの、シグナル解析や他因子の機能解析が途中であるため、さらなる解析が必要である。また、歯小嚢細胞へのsiRNA導入条件の検討中であり、実験計画よりやや遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
歯胚発生におけるIGFBP3の機能解析を行うため、歯胚器官培養時にIGFBP3 siRNA導入を行い、遺伝子解析ならびに形態解析を行う。同時にマウス歯小嚢細胞を用いたin vitro実験を行い、各種機能実験(増殖能、遊走能、分化能)を行う。 IGFBP3がヒト歯根膜幹細胞における増殖能、遊走能、分化能に影響を及ぼすシグナル解析を行う。さらびに、IGFBP3以外でヒト歯根膜幹細胞で強く発現している他IGF関連因子にも着目し、機能解析を進める。
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