研究課題/領域番号 |
22K17057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下村 純平 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (70910157)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | セメント質 / juxtacrine / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周組織再生過程におけるセメント質形成の詳細なメカニズムは明らかになっていません。本研究課題では歯根膜細胞・セメント芽細胞間の細胞間相互作用、なかでも細胞間接触を介して交わされるjuxtacrine作用に着目し、同作用がセメント質の形成に必須となる『歯根膜細胞からセメント芽細胞への分化過程において果たす役割』を明らかにし、その分子機序について解析します。すなわち、Cell Sorting技術を活用し、歯根膜細胞とセメント芽細胞の共培養実験を行うことで両細胞間のjuxtacrine作用について解析します。得られた成果はラットセメント質再生モデルを用いてin vivoにて検証します。
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研究実績の概要 |
ヒト歯根膜細胞(HPDL)とヒトセメント芽細胞(HCEM)の共培養実験を行うことで両細胞間のjuxtacrine作用について解析を行った。HCEMと、蛍光標識分子を遺伝子導入したHPDLを混合し共培養した後、Cell SorterにてHPDLのみをSortingし遺伝子の発現変化を確認した。その結果、セメント質関連遺伝子であるALPL、IBSP、CEMP1、BGLAPの有意な発現上昇が認められた。さらに、SortingしたHPDLは石灰化誘導培地での培養により、非共培養のHPDLと比較し石灰化ノジュール形成の亢進を認めた。 一方で、transwellシステムを用いた非接触型共培養実験ではHPDLにセメント芽細胞関連遺伝子の発現上昇は認められなかった。これらの結果から、歯根膜細胞とセメント芽細胞間のjuxtacrineシグナルが、歯根膜細胞からセメント芽細胞への分化を誘導していることが示唆された。 HCEM・HPDLの細胞間相互作用がHPDLへの影響を制御するシグナル経路について解析を行った。HCEMとHPDLの共培養系からSortingしたHPDLにおいて、AXIN2、LEF1等のWnt関連遺伝子の発現上昇が認められ、同共培養系におけるWntシグナル阻害剤DKK-1の添加は、HPDLに誘導されるAXIN2、LEF1並びにIBSP遺伝子の発現を抑制した。両細胞間のjuxtacrine作用にWntシグナルが関与していることが示唆された。 ラット歯周組織欠損モデルを作製し、欠損部にFGF-2製剤を局所投与し経時的なセメント質の再生過程を組織学的に観察するとともに、歯周組織に発現する分子をin situ hybridization法にて解析した。その結果、既存セメント質から連続した新生セメント質の形成が認められ、その再生過程において新生セメント質周囲からIBSPの発現が認められた。
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