配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究開始時の研究の概要 |
近年の研究報告において, 乳酸は組織再生や硬組織の分化に重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。申請者らは低グルコース環境における乳酸欠乏によって, 歯根膜幹細胞の硬組織形成を阻害することを発見し, 乳酸が歯周組織再生を促進するエネルギー源となる可能性を見出した。 本研究ではヒト歯根膜幹細胞とラットを用いた動物実験による臨床モデル試験を実施し,「生理活性物質」としての乳酸が歯周組織再生に有用であるのか, そのメカニズムを解明することを目的とする。さらに, 本研究で得られた成果をもとに,乳酸製剤を用いた新規歯周組織再生治療を開発するための基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
近年の研究報告において, 乳酸は組織再生や硬組織の分化に重要な役割を果たす可能性が明らかになりつつある。低グルコース環境における乳酸欠乏によって, 歯根膜細胞の硬組織形成にどのような影響を及ぼすのか, また乳酸が歯周組織再生を促進するエネルギー源となるのかを検証する必要があると考えた。本研究ではヒト歯根膜細胞とラットを用いた動物実験による臨床モデル試験を実施し,「生理活性物質」としての乳酸が歯周組織再生に有用であるのか, そのメカニズムを解明することを目的とした。 本研究においては、まず乳酸産生に関与するグルコース代謝と歯周組織再生について検討することとした。グルコース濃度(100、75、50、25、0mg/dL)の培地を使用し,グルコース環境の変化が歯根膜細胞の乳酸産生に与える影響を検討した。また細胞内への乳酸取り込みを制御するモノカルボン酸トランスポーター-1の特異的阻害剤であるAZD3965を用いて、乳酸代謝が硬組織分化に及ぼす影響を検討した。 低グルコース環境によって歯根膜細胞の乳酸産生は減少した。またAZD3965は歯根膜細胞の細胞増殖,遊走, および硬組織分化を抑制した。さらに, 低グルコース環境とAZD3965によって, ERK1/2, AKT, およびHIF1αの発現が抑制された。 したがって、本研究の結果から、歯根膜細胞の細胞増殖, 遊走, および硬組織分化はグルコース代謝由来の乳酸を介して制御される可能性が示唆された。現在、ラット歯周組織欠損モデルを用いて乳酸が歯周組織再生を促進するのか検討を行っているところである。今後、動物実験の結果をまとめて専門学会等で研究成果を報告する予定である。
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