研究課題/領域番号 |
22K17086
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長沼 由泰 東北大学, 大学病院, 助教 (90800996)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 超音波顕微鏡 / 音響インピーダンス / 歯科材料 / 歯科診断 |
研究開始時の研究の概要 |
虫歯などで歯科を受診する時に虫歯の広がり等を調べる為にX線撮影を用いるというのが現在の主流です。微弱ではありますが、放射線を使用するため撮影時には放射線をブロックするための設備を整える必要があります。そのため、設備がないような場所では緊急時に検査を行うことが出来ません。 本研究では、被爆の心配が全く不要である超音波を用いて歯の内部構造(治療されたことのあるなしにかかわらず)を撮像することを目指します
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研究実績の概要 |
昨年度に行った研究内容は大きく分けて2つである。1つ目は歯科補綴物・修復物に使用される補綴物の音響学的特性の評価を行った。用いた音響パラメータは現在までに行ってきた実験と同様の音響インピーダンス値である。評価を行った金属は歯科において保険適用されており、なおかつ使用率が高い材料である金銀パラジウム合金と銀合金を選択した。これら2つの材料と歯質の間で音響インピーダンス値を調べたところ、統計学的に有意差が認められた。また、疑似的に治療歯を作製しセットした状態で超音波顕微鏡による評価を行った。音響インピーダンス値をベースとして撮像評価を行ったところ、2次元カラー画像により歯質と金属材料を明確に区別して撮像可能であった。加えて補綴物をセットする際に歯科用セメントを使用するが、そのセメントの被膜厚さは約30μmと非常に薄いが撮影範囲によっては評価カラー画像により評価可能であった。 2つ目はポータブル化した超音波顕微鏡による口腔内評価の足掛かりへの着手である。臨床応用を見据えて超音波顕微鏡のポータブル化は実現化しているが、現状は1点1点の音響インピーダンスを評価するのみで撮像や3次元的な位置関係の把握には至っていない。そこで、計画書に記載した通りモーションキャプチャーとの融合を試みた。ポータブル化した超音波顕微鏡のプローブとモーションキャプチャーの測定点である反射マーカーを融合させてポータブル化した超音波顕微鏡により位置情報の収集を行えるように画策している。現時点では、現在までに従来の超音波顕微鏡による評価を行ったような切片化した試料について同様の試料をポータブル化した超音波顕微鏡による評価を行い、すべての試料についてデバイスによる差異がないことを確認した状態である。 昨年度は上記2つをメインテーマに実験を行った。成果の一部については第18回バイオ超音波顕微鏡研究会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先に記述した通り、計画にあった歯科用材料についての評価については、ほぼ終了した状態であり研究計画にもあったポータブル化することによる臨床応用への土台作りに着手できたという点と、成果発表を対外的に行うことができたという点においては当初の予定より進展したと評価している。一方で歯科用材料の評価とポータブル化への応用に時間を費やしたために昨年度の推進方策に上げていたC3処置歯への対応が遂行できなかった。そのため、総合して上記のように判断したものである。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに歯牙の最終補綴物・もしくは充填物である歯科材料については評価が完了したが、進捗状況に示した通り歯内療法に用いられる歯科材料への評価が行えていないため、本年度はこちらの材料についての評価を改めて施行する予定である。材料の評価が完了した後に、抜去歯牙に根管充填を行った仮想C3処置歯を作成し根管充填材と歯質の評価を行う。また、これまでの試料と同様にポータブル化した超音波顕微鏡による評価も併せて行い既存の超音波顕微鏡による評価と比較する。 ポータブル化した超音波顕微鏡については、昨年度から引き続きモーションキャプチャーと融合させ位置情報と音響インピーダンスを同時にデータ収集できる方法について画策していく予定である。
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