研究課題/領域番号 |
22K17119
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
本田 順一 日本大学, 歯学部, 助教 (50800942)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジルコニア / ろう付け法 / 活性金属ろう材 / インプラント上部構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ジルコニアは、患者の審美性への高い需要や金属の価格高騰などの観点から金属に代わり次世代の歯科材料として普及することが期待されている。しかし、ジルコニアの製作方法はCAD/CAM法が主流であり、従来のロストワックス法で製作される陶材焼付冠と比較し、支台歯形成や補綴装置の設計に配慮が必要である。特に、ジルコニアは現状ではろう付けができないために、適合精度が劣る可能性がある。そこで、本研究では工業分野で応用されている“活性金属ろう材とろう付け法”に注目した。本研究によって、ジルコニアを用いた補綴装置のろう付けの可能性が証明されることが期待される。
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研究実績の概要 |
工業分野で応用されている活性金属ろう材を用いた歯科用ジルコニアに対するろう付け法を検証するため、ISO9333に準じた試験片を製作した。まず、ソフトウェア上で試験片の設計を行い、設計したSTLデータを用いて、歯科用ジルコニアディスクからミリングマシーンを用いて試料を製作した。次に低速精密切断機を用いて、試験片中央で切断し、ろう付け間隙が0.05 mm、0.10 mmおよび0.20 mm (ISO9333)となるよう歯科用ワックスで設定した。製作した試料片と型ごと埋没材を用いてろう付け用ブロック(耐火模型)を製作し、その後、電気炉でワックスを焼却した。製作したろう付け用ブロックの間隙部に活性金属ろう材を設置し、ポーセレン焼却炉にて、真空中(830℃,5分)の条件下でろう付けを行った。ろう付け後の試験片は万能試験機を用いて、はく離試験を行い評価した。 しかし、活性金属ろう材は酸素と反応しやすく、ポーセレン焼却炉でのろう付け中に、酸化してしまう試料が多かった。そのため、ジルコニアと良好なせん断接着力を有しているジルコニア用前装用陶材が、ろう付け用材料として応用可能かを検証することとした。活性金属ろう材を使用したのと同様の方法で試料を製作し、ジルコニア用前装陶材を用いて、実験を行った。 さらに、ろう付け方法を検証したのちには、適合試験や破壊強度試験を想定しているため、シリコーンレプリカ法を用いての適合試験や、インプラント上部構造の破壊強度試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度に活性金属ろう材を用いたろう付け法を検証する予定であったが、活性金属ろう材は酸化しやすく、ポーセレン焼却炉を用いた真空中でのろう付け方法では真空値が不足している可能性が示され、酸化してしまうことが多かった。そのため、測定および検証に遅れが生じている。しかし、アルゴン雰囲気下中でろう付け法を検証しているため、今後、修正し検証を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
アルゴン雰囲気下での活性金属ろう材を用いてのろう付け法を検証するため、歯科技工用高周波鋳造器でのろう付け法を検証する。また、検証した活性金属ろう材を用いたろう付け法が臨床応用可能な適合性および強度を有しているかを検証するため、適合試験および破壊強度試験を行う。下顎左側第二小臼歯、下顎左側第二大臼歯相当部のインプラント治療を想定し、3ユニットのブリッジフレームワークを製作する。令和4年度で構築したろう付け法を参考に製作したフレームワークと型ごと埋没材でろう付け用の治具を製作する。そして、前ろう付けを想定し、活性金属ろう材を設置し、ろう付けを行った後、陶材を前装する。製作した試料は、CAD/CAM法で製作したワンピースのフレームワークとの適合精度の比較を行うため、CAD/CAM法で製作したフレームワークとろう付け法で製作したフレームワークの内面適合をシリコーンレプリカ法にて検証する。その後、機械的強度を比較するため、万能試験機を用いて、ポンティック部に静的圧縮荷重を負荷し、破壊強度試験を行う。
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