研究課題/領域番号 |
22K17137
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
桑原 実穂 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30868287)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | CCN3 / 加齢 / 軟骨 / 軟骨細胞 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者における変形性顎関節症の原因は、加齢に伴う下顎頭軟骨の退行性変化あるいは過剰な機械的負荷などが報告されているものの、その詳細な分子メカニズムは未だ不明であり効果的な治療法は確立されていない。 申請者は最近、新規軟骨細胞老化促進因子としてCCN3 (Cellular communication network factor 3)を同定し、加齢に伴うCCN3の発現上昇ならびにCCN3の過剰発現による膝関節軟骨組織の加齢性変性を見出した。本研究では、今まで知られていなかった下顎頭軟骨組織におけるCCN3と老化誘導の関連を明確にすることで、加齢性の変形性顎関節症発症と進行制御の基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
生後2日から37週までの様々な週齢のマウス膝関節組織から単離した初代培養軟骨細胞の遺伝子発現解析で、CCN3 mRNAとともに細胞周期停止因子p21, p53、SASP因子であるIL-6, IL-8 mRNAの発現レベルとマウス週齢との間に強い正の相関を認めた。これはヒト初代培養軟骨細胞でも同様の遺伝子発現と年齢との相関を示した。また、CCN3抗体を用いた1ヶ月から7ヶ月齢のマウス膝関節の免疫染色において、加齢とともに強い染色性が観察された。ヒト初代培養軟骨細胞とラット培養軟骨細胞株RCSに酸化ストレスとしてH2O2を添加し、人工的に細胞老化を誘発したところCCN3 mRNAの有意な発現上昇とともに、p21,p53の発現上昇が認められた。RCS細胞にCCN3を発現ベクターの導入により過剰発現させるとp21プロモータ活性が上昇することに加え、RCS細胞に組換えCCN3蛋白を添加するとp21, p53 mRNAが誘導されことから、CCN3の発現上昇によっても細胞周期停止因子の誘導による老化が誘発されることが明らかとなった。さらに、軟骨組織特異的にCCN3を発現するトランスジェニックマウスの関節軟骨では、早期に関節変性が誘導され、同マウス軟骨細胞では細胞周期停止因子群、SASP因子群の発現が上昇していた。 さらに、健常成人とOA患者から採取した大腿骨頭におけるCCN3の免疫染色では、OA群で軟骨細胞上層部に陽性細胞の集積と軟骨表層の基質での染色性の高い領域を認めた。また、単離した軟骨細胞の遺伝子解析では、健常群に比べOA群でCCN3 mRNAの発現が有意に上昇するとともに、p16やADAMTS4、Aggrecan mRNAなどの発現誘導も認められた。また、同サンプルのMankin scoreによって得られた組織学的変性度と、CCN3 mRNA発現レベルには正の相関を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化軟骨細胞におけるCCN3の発現誘導に加え、CCN3の過剰発現による軟骨細胞老化現象を明らかにした本実績は国際科学雑誌に投稿した。今年度はさらに若年より老年期の初代培養関節軟骨から得たRNAを用いてRNA-seqを行い、様々な因子の発現変動をすでに検出しており、遺伝子発現の変動と老化との関連、CCN3発現変動との関連について現在解析中である。また、当初予定はしていなかったが、変形性股関節症患者におけるCCN3を介した病態発症機構についても解明中である。
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今後の研究の推進方策 |
老化軟骨細胞におけるCCN3の発現を上昇させる因子の検索として、高齢および若年ヒトから得られた軟骨細胞からRNAを抽出しRNA-Seq解析によりCCN3の発現を上昇させると期待される因子の同定を行う。。 CCN3による新たな軟骨細胞老化経路の解明として、CCN3発現が直接影響を及ぼす分子あるいは経路の特定我々が既に作製している軟骨組織特異的CCN3過剰発現マウスの軟骨細胞より採取したRNAを用いたマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行う。 これらの因子の遺伝子改変マウスをCRISPR-Cas9システムを用いて作製し、表現型を解析する。
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