研究課題/領域番号 |
22K17142
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
宗政 翔 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40852489)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 唾液 / 唾液腺 / Cftr / う蝕 / pH / オーラルフレイル / cftr |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者に特に多く認められる根面う蝕や二次う蝕は、歯冠破折や修復物の脱離などを引き起こし、咬合崩壊やオーラルフレイルの増悪につながるため、う蝕発症予防は喫緊の課題である。う蝕と唾液との関連について以前より謳われているが、唾液pHなどの唾液性状の改善により、う蝕予防を図るという研究はこれまでにない。そこで本研究では、CFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)増強薬の長期投与が唾液性状や唾液腺組織および口腔内環境に与える影響を調査し、う蝕発症を予防できるか評価することで、オーラルフレイル発症リスクの低減に寄与するかを検証する。
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研究実績の概要 |
糖尿病患者では口腔乾燥症を伴う場合が多く、唾液分泌量の低下による歯周病の増悪、義歯の装着困難などが歯科補綴治療に際し問題となる。そのため、口腔乾燥症の病態解明および治療法の確立が急がれている。先行研究において、糖尿病モデルマウスの唾液分泌量が有意に減少しており、その一因が腺房細胞内Ca2+上昇の抑制であることが明らかとなっているが、導管細胞での水分泌への影響は明らかになっていない。 近年、全身の導管細胞に多く発現しているcystic fibrosis transmembrane conductance regulator (Cftr) 遺伝子の変異によって起こる嚢胞性線維症患者で糖尿病が多く認められたことで、糖尿病とCftr遺伝子の関係性が発見されたが、口腔乾燥症との関連については十分な検討が加えられていないのが現状である。 これまでに、Cftr増強薬(Ivacaftor:VX-770)をマウスに応用した場合に唾液分泌機能に変化はないものの、Cftr増強薬を投与した実験群で分泌唾液中のNa+およびCl-濃度が有意に低値を示し、 pHでは有意に高値を示すという結果を得ている。 以上より、Cftr機能の増強によって唾液の質が変化していることが明らかとなった。 今後はCftr増強薬が分泌唾液中のpHを上昇させることを利用し、う蝕モデルマウスに対しCftr増強薬を応用する。その結果、Cftr増強薬を応用がう蝕抑制能の向上に寄与するかを検証していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備実験は行えているが、う蝕モデルマウスの作成に至っていない。また、COVID-19の感染拡大やウクライナ情勢により実験の中断および器具や薬品の納入遅延が発生したため。
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今後の研究の推進方策 |
過去の報告(Catalan MA et al. PLoS One. 2011.)をもとにう蝕モデルマウスの作成プロトコールの構築を行う。作成完了後は、Ex vivo灌流モデルを用いて、顎下腺からの唾液分泌量測定を行い、同時に分泌唾液を回収する。分泌唾液中のイオン濃度やタンパク質濃度、唾液粘稠度および唾液pHを調べることで、Cftr増強薬の応用がう蝕モデルマウスの唾液性状に与える影響を評価する。また、ウエスタンブロッティングによるCFTRタンパクの定量を行うことでCFTR発現量と唾液腺機能の相関を評価する。さらに、 Hematoxylin-Eosin染色による組織学的検討により唾液腺に器質的な変化がないか確認し、CFTRタンパクの局在についても免疫組織化学染色にて調査する。
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