研究課題/領域番号 |
22K17155
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松村 恵実 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50867538)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 神経周膜 / バリア機能 / 口腔外科 / 神経障害性疼痛 / 神経麻痺 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔外科領域の智歯抜歯や顎変形症の手術などでは、まれではあるが術後に神経系合併症が生じる。主な症状は下顎ではオトガイ部皮膚の知覚鈍麻であるが、非常にまれに神経障害性疼痛様の激しい痛みが残存する。手術後の神経系合併症や神経障害性疼痛の治療には、薬物治療やレーザー治療、神経ブロック治療などがあるが、効果として十分でないのが現状である。神経麻痺や神経障害性疼痛に対する治療薬開発は、口腔外科領域のみならず、様々な疾患に罹患した患者の救済に寄与する可能性がある。本研究は従来にないアプローチとして神経周膜のバリア機能に着眼し、神経周膜のバリアの制御が知覚鈍麻や神経障害性疼痛の治療に有効か?を検討する。
|
研究実績の概要 |
歯科口腔外科領域では、智歯抜歯や外科矯正など術後の神経合併症が生じる手術が多くあります。下歯槽神経の知覚異常の発症率は、智歯抜歯後では0.26~8.4%、外科矯正である下顎枝矢状分割術では40%との報告があり、特に下顎智歯抜歯後異常感覚を伴う神経合併症は難治性であると考えられています。 術後神経合併症の他に神経障害性疼痛が問題となるのは癌やウイルス感染症です。末期癌では75%が中等度から重度の疼痛を自覚し、ウイルス感染症では帯状疱疹関連痛はもとよりCOVID-19による神経障害性疼痛が現在問題となっています。 口腔外科術後の神経合併症や神経障害性疼痛の治療には薬剤やレーザー治療、ブロック治療などがありますが、現時点で有効性が確立したものはありません。よって、より安全かつ有効な治療法や薬剤開発を最終的な目的とし、従来のものとは異なる分子(受容体や血管新生関連分子)や組織(神経周膜)などに着眼して研究を行います。 上述の目的に近付くため以下の研究を行います。(1)神経障害性疼痛に有効な可能性がある受容体が神経のバリア制御に関与するか明らかにする。(2)神経周膜の制御に関与する新規分子(血管新生関連分子)の役割を解明する。(3)受容体や新規神経周膜バリア機能制御分子が、ヒトの生体内で病変の有無や年齢などの背景により発現の差があるか検討する。(4)受容体や新規分子がウイルス感染時の神経周膜のバリア機能破綻を抑制するか検討する。(5)神経周膜バリア機能制御遺伝子改変動物で神経障害性疼痛がどう変化するか検討する。 本研究の初年度では、(1)~(3)の研究を行いました。その結果、特定の受容体と新規神経周膜関連分子のヒト下歯槽神経周膜における発現を免疫染色で確認し、同様にそれらの発現をヒトの神経周膜培養細胞でも確認しました。現在それらの結果をまとめています。今後は動物実験などを進めていく所存です。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、歯科口腔外科領域で生じる智歯抜歯や外科矯正などの術後神経合併症や、神経障害性疼痛が問題となる癌やウイルス感染症に付随する痛み(末期の癌患者さんの痛みや帯状疱疹関連痛、COVID-19による神経障害性疼痛など)に対するより安全かつ有効な治療法や薬剤開発を最終的な目的とし、従来のものとは異なる分子(受容体や血管新生関連分子)や組織(神経周膜)などに着眼して研究を行います。 現在予定している研究のうち、特定の受容体と新規神経周膜関連分子のヒト下歯槽神経周膜における発現を免疫染色で確認し、同様にそれらの発現をヒトの神経周膜培養細胞においても確認したため、それらの結果をまとめている所です。よって、研究全体の予定に鑑みると、現在の実験の進捗状況は概ね順調であると判断しました。
|
今後の研究の推進方策 |
上述の通り、本研究の目的を達成するために、次年度は動物を用いた実験結果の解析を完了する予定です。このヒトでの結果を、今後培養細胞等を用いて基礎医学的研究で裏付ける実験が必要となると予想されます。またヒトの神経疾患における神経周膜の機能解明を目指した研究を継続して行う予定です。
|