研究課題/領域番号 |
22K17161
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂田 純基 熊本大学, 病院, 医員 (70823326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 口腔癌 / スピロノラクトン |
研究開始時の研究の概要 |
スピロノラクトンは高血圧やうっ血性心不全の治療薬として広く用いられているカリウム保持性利尿薬であるが、近年いくつかの癌腫においてDNA損傷修復に影響することで抗腫瘍効果を発揮することが報告されている。しかしながら、口腔扁平上皮癌 (OSCC) におけるスピロノラクトンの効果についてはまだ不明である。本研究では、OSCC患者に対するより有効性の高い治療法の開発を目指して、スピロノラクトンによるOSCCへの抗腫瘍効果の解明とスピロノラクトン併用の放射線治療および化学療法の有効性の検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は口腔扁平上皮癌患者に対するより有効性の高い治療法の開発を目指して、カリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンによる口腔扁平上皮癌への抗腫瘍効果の解明とスピロノラクトン併用の放射線治療および化学療法の有効性を検討することを目的としている。まず、口腔扁平上皮癌細胞株のスピロノラクトン感受性を調べるために、各濃度のスピロノラクトン投与後、MTT法で生存細胞の検出し評価を行った。その結果、スピロノラクトン10μMの濃度で培養した場合はコントロール群と有意な変化は認めなかったが、25μM以上の濃度においては、濃度依存的に有意な細胞増殖抑制効果を認めた。続いて、スピロノラクトンによる抗癌剤の増強効果を調べるために、各濃度のシスプラチンまたはフルオロウラシルとスピロノラクトンを投与後、MTT法で生存細胞の検出し評価を行った。その結果、スピロノラクトンを投与した群において、濃度依存的にシスプラチンの効果が有意に増強していることが確認された。またフルオロウラシルの効果についてはスピロノラクトンの投与の有無において有意な相関は認めなかった。またスピロノラクトン投与後の放射線感受性についてClonogenic アッセイで検討したが、スピロノラクトン投与による放射線の有意な増感効果は認めなかった。以上の結果より、スピロノラクトン投与により口腔扁平上皮癌のシスプラチン感受性が増強することが確認された。今後は口腔扁平上皮癌におけるスピロノラクトンと他の抗癌剤の増感作用について、またその作用機序についての検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
スピロノラクトンによる抗癌剤の増強効果を調べるために、各濃度の抗癌剤とスピロノラクトンを投与後、MTT法で生存細胞の検出し評価を行う。抗癌剤はシスプラチンとフロオロウラシルは検証済みであるため、臨床で口腔扁平上皮癌に頻用されるパクリタキセル、ドセタキセル、セツキシマブでの追加検討を行う。また、スピロノラクトン投与によるOSCCの抗癌剤増強効果の評価を、OSCCの患者腫瘍組織移植マウスモデル(PDXマウスモデル)を用いて評価する。さらに、得られた腫瘍片サンプルを使用して分子機構への影響を解析し、抗癌剤増強効果の機序についてさらなる検討を行う。以上掲げた全ての検討により、in vitroとin vivo実験系の結果を元に、スピロノラクトンの有用性を明らかにすることで、将来的には進行OSCC患者における放射線治療にスピロノラクトンを併用する医師主導型臨床研究に繋げていくことを目指す。
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