研究課題/領域番号 |
22K17162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
比嘉 憂理奈 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60808343)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | リナロール / 自律神経活動 |
研究開始時の研究の概要 |
歯科治療時の局所麻酔における針刺入時の疼痛や不安は、自律神経活動の変動を引き起こし、異常高血圧や血管迷走神経反射などの全身的偶発症を発症する可能性がある。申請者は、抗不安作用があるモノテルペン系化合物の一種であるリナロールに着目し、香気誘発性鎮痛の有用性とそのメカニズムを動物実験で明らかにした。抗不安作用と鎮痛作用をもつリナロール香気吸入をヒトに応用することで安全な歯科治療環境の構築を目指している。 本研究では、動物実験において認められた香気誘発性鎮痛作用がヒトにおいても有用であるか、リナロールの香気曝露が局所麻酔時の自律神経の変動に対してどのような影響を与えるか検討することを目的とする。
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研究実績の概要 |
歯科治療時の異常高血圧や血管迷走神経反射などの全身的偶発症は、局所麻酔時に最も起 こると報告されている。局所麻酔の針の刺入に対する不安や刺入時の疼痛は、自律神経の変動を引き起こし、全身的偶発症を発症する可能性がある。 申請者は抗不安作用があると報告されてきたモノテルペン系化合物の一種であるリナロールによる香気誘発性鎮痛の有用性とそのメカニズムを動物実験で検証してきた。その結果、リナロールの香気暴露で著明な鎮痛効果が得られること、そしてその鎮痛効果には、脊髄に直接軸索投射しているオレキシン神経が関与していることを明らかにした。抗不安作用と鎮痛作用をもつリナロール香気曝露をヒトに応用することができれば、安全な歯科治療環境の構築ができると考えている。 本研究では、動物実験において認められた香気誘発性鎮痛作用がヒトにおいても有用であ るか、リナロールの香気曝露が局所麻酔時の自律神経の変動に対して、どのような影響を与えるか検討することを目的としている。 今年度は、患者での臨床研究を行う前に、健康成人を対象として、リナロール吸入濃度条件の予備的検討を予定していた。現在、研究を実施する前に鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会に申請を行う準備を行っている段階である。また、鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会に申請の許可が得られればすぐに研究が始められるように研究環境の整備を行った。具体的にはリナロール香気を暴露する装置が劣化しており、また今までは動物実験用に使用していたため新たにヒトを対象としたリナロール香気暴露装置を作成した。この装置は既製品ではなく申請者が作成するため制作に時間がかかった。また、自律神経を測定するための装置のセットアップまで完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健康成人を対象としたリナロール吸入濃度、吸入条件の予備検討を行う予定であったが、現時点でまだ鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会に申請を行う準備段階である。臨床研究倫理委員会の申請が許可されれば研究環境をこの1年で整えたためすぐ研究を行える状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会の許可が得られれば研究環境は整えたためすぐに研究を始める予定である。 まずは健康成人を対象としてリナロール吸入濃度、吸入条件の予備検討と方法を確立したいと思う。具体的には、Modified Dental Anxiety Scaleを行い、State-Trait Anxiety Inventoryの心理テストと疼痛評価Numerical Rating Scale (NRS)は研究開始前と終了時に行う。被験者をデンタルチェア 上に仰臥位にさせ、鼻カニューレを装着する。吸入させるリナロールの濃度を30%、50%、100%と変化させることで自律神経 系(交感神経活動の指標:LF/HF、副交感神経活動の指標: HF)・循環動態(血圧、心拍数)や心理状態を比較し、吸入させる濃度条件の検討を行う。その結果を用いて、抜歯が必要な20-40歳女性患者40名から脱落症例を除いた患者らをランダムに対照群とリナロール群の2群に割り分け、鼻カニューレを装着し、デンタルチェア上に仰臥位になり、脳波・心電リアルタイム解析システムMem calc Makin2(GMS社)を使用し、自律神経系(交感 神経活動の指標:LF/HF、副交感神経活動の指標:HF)・循環動態(血圧、心拍数)のパラメータを記録する。リナロール群ではリナロールを吸入させながら局所麻酔を行う。局所麻酔薬はフェリプレシン添加3%プリロカインを使用し同一の術者が局所麻酔を行う。2群の自律神経系、循環動態、心理状態の生体パラメータを統計学的に比較解析し、局所麻酔中のリナロール吸入が生体へ与える影響を解析する。
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