研究課題/領域番号 |
22K17180
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
越沼 伸也 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10640146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 再生医療 / 創傷治癒 / 骨髄由来細胞 / スキャフォールド |
研究開始時の研究の概要 |
骨膜欠損創は難治性の創傷であるが、ゼラチンスポンジ(GS)を留置することで創傷治癒が促進されることが明らかになっている。その機序はいまだ不明であるが、多くの研究で骨髄由来細胞と創傷治癒の関係が明らかにされている。本研究では骨髄由来細胞を標識したラットを用いて、骨膜欠損層の治癒における骨髄由来細胞の役割を明らかにする。 また新規の材料である多孔質中空ポリL乳酸ファイバーを骨膜欠損創に留置し、創傷治癒の足場としての可能性を評価する。
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研究実績の概要 |
野生型およびGFPラットの骨髄移植を受けたラット(BMTラット)に頭頂部に骨膜欠損創を作製し、GSを留置しない群(GS-群)とする群(GS+群)に分けた。ラットはそれぞれ2、4、6週後に安楽死させ、組織学的解析、免疫組織化学解析を施行した。血管新生の解析にはα-SMA、NG2、CD31を用い、骨表面における血管新生の解析にはCD105、CD106を用いた。再生された骨膜、神経線維、毛乳頭の評価にはそれぞれPOSTN、PGP9.5、LEF-1を用いた。また量的解析として各群の創部における血管数およびGFP+細胞の割合を測定した。 野生型ラットのGS+群では、毛包を伴った皮膚の層構造が再生された。免疫組織学的染色ではGS+群ではPOSTN+の骨膜やCD31+/α-SMA+の血管が観察されたことから、GS+群では骨膜を含めた異種組織再生が起こっていることが明らかとなった。 次にBMTラットを用いて、骨膜欠損創の創傷治癒におけるBMDCの挙動を解析した。免疫組織学的染色において、GS+群では術後2週にGFP+の血管が観察された。一方、GS-群では術後4週までは血管やGFP+細胞は見られず、術後6週で観察されたGFP+細胞は血管を形成していなかった。骨面近傍においてGS-群では血管が観察されなかったのに対して、GS+群では術後4週においてGFP+陽性の血管が観察され、術後4週以降で骨膜(GFP-)が観察された。また、GS-群では皮膚付属器官は観察されなかったが、GS+群では術後2週から観察された。骨膜のGFP+細胞の割合は、GS+群では術後4週でピークに達し、術後6週で減少した。これは創傷を加えていないラット(control群)と比較すると有意に大きかった。この傾向は、再生された骨膜の厚さについても同様であった。また、真皮や皮下組織の血管数は、GFP+細胞の割合の結果と相関がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画において、令和4年度に予定していた分は終了したため、進捗状況はおおむね予定通りと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
骨膜欠損創部の血管は骨髄由来細胞によって新生され、骨膜、皮膚や皮膚付属器等の組織は局所細胞によって再生するということが明らかになった。組織における血管数とGFP+細胞の割合に相関がみられることからも、骨髄由来細胞が組織の血管新生に重要な役割を果たしていることが示唆された。マウスでは、多くの骨髄内の造血幹細胞がCD105/CD106+であることが示されており、また造血幹細胞由来の内皮前駆細胞や循環線維細胞が創傷治癒に関与することが示されていることを踏まえると、骨膜の再生はCD105/CD106+で標識される骨髄由来幹細胞が関与している可能性がある。 これまでの結果を踏まえて、新規材料である多孔質中空PLLA-FSおよび骨髄由来細胞を用いて、骨膜欠損創の治癒機転を評価する。
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