研究課題/領域番号 |
22K17207
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大林 奈美 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (00940983)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 味覚異常 / 塩味 / 抗がん剤 / イリノテカン / 味覚 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤治療中の副作用として生じる味覚異常は食欲不振や低栄養、QOLの低下を引き起こし、重篤になると治療の中断を強いるなど患者に多大な不利益をもたらす。しかしながら、その発症機序や治療・改善方法は未だ確立されていない。予備調査では、抗がん剤イリノテカン投与によって低濃度嗜好性塩味感受性が低下することが明らかとなった。本研究では塩味のレセプターであるENaCの味細胞での発現や味細胞の細胞接着に着目し、塩味味覚異常発症の分子機構を明らかにするとともに、塩味受容の機構に関する新たな知見を得ることを目指す。また、ヒト対象の疫学研究を併行して実施し、基礎実験と疫学調査の両面から味覚異常の実態を解明する。
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研究実績の概要 |
味覚異常はがん化学療法によって生じる主な副作用の一つであり、患者の栄養状態やQOLに深刻な影響を与える。本研究では抗がん剤によって生じる味覚異常の病態や機構の解明を目的としている。2022年度は、two-bottle prederence testによって抗がん剤イリノテカンの投与がマウスの塩味(NaCl)嗜好性を変化させることを明らかにし、味細胞味孔におけるENaCαの発現低下が関与している可能性を示した。また、同量のイリノテカンは甘味(saccharin)の飲水行動を変化させなかったことから、100mg/kgイリノテカン投与は味質選択的に味覚異常を引き起こしすことを示唆した。この結果をまとめ、European Journal of Sciences誌にて論文発表した。(Obayashi et al, 2023) またヒト対象の質問紙調査において、がん化学療法を受ける患者では特に塩味やうま味に対する主観的な味覚感受性の変化を生じやすく、苦味や酸味感受性は障害されにくいことを示した。また、塩味と甘味、塩味とうま味など特定の組み合わせによって味覚感受性が相互に影響し、がん化学療法中の主観的な味覚変化に関与している可能性を示した。 動物実験と疫学研究の両面から、味質によって抗がん剤への感受性が異なることが推測された。これらの知見は、臨床現場での抗がん剤によって生じる味覚異常に対する改善方法や食事指導の考案、また基礎的な味覚受容機構の解明につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画したよりもマウス行動実験のデータ取得に時間がかかり、次段階に進むのが遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、基礎研究ではイリノテカンがマウス塩味受容機構に与える影響について、特に細胞接着に着目した解析を進める。 また、ヒト対象研究も計画中であり、塩味の識別や認識に与える口腔内の影響因子を明らかにする。
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