研究課題/領域番号 |
22K17213
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
平木 大地 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (40877560)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 電子たばこ / 加熱式たばこ / エピジェネティクス / RNA-Seq / RRBS / 電子たばこ誘発口腔がん / マルチオミックス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
電子たばこや加熱式たばこ(E-cig)市場は、欧米や日本を中心に急成長しているが、E-cigの口腔がんの発症や進行に関わる報告は限定的であり、その詳細なメカニズムは未だ不明である。直近の研究成果から、噛みたばこ常習者のエイジングに関与する遺伝子の高メチル化が明らかとなり、エピジェネティクス変化に着目したE-cigによる口腔がん発症メカニズムの解明と新規診断、治療への応用性に着目した。本研究では網羅的・統合的解析技術を用いて、E-cigによる口腔がん発症メカニズムの解明と、新規口腔粘膜エピジェネティクス診断法の確立および予後・予知因子・治療標的としての基盤創出を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、電子たばこや加熱式たばこ(E-cig)市場は、欧米や日本を中心に急成長している。しかしながらE-cigの口腔がんの発症や進行に関わる報告は限定的であり、その詳細なメカニズムは未だ不明である。直近の研究成果から、噛みたばこ常習者のエイジングに関与する遺伝子の高メチル化が明らかとなり、エピジェネティクス変化に着目したE-cigによる口腔がん発症メカニズムの解明と新規診断、治療への応用性に着目した。 本年度はE-cigのタバコ葉と水を混合して加熱し、その後採取した上清をHeated tobacco product(HTP、コントロール:HTP無添加)とした。正常ヒト歯肉上皮前駆細胞に、HTPの添加と非添加を交互に行い、合計1ヶ月間培養した。これらのサンプルからRNA、DNA、タンパク質を抽出し、それぞれRNAシーケンス(RNA-seq)とDNAメチル化解析(RRBS)、およびウェスタンブロットを行い包括的に解析した。 RNA-seqにより、遺伝子発現が2倍増加した遺伝子は284個、2倍減少した遺伝子は145個であった。ヒートマップでは、コントロール群とHTP群の遺伝的差異が示された。主成分分析プロットでは、コントロールとHTPの間で明確な遺伝的分布が示された。Gene Ontology (GO)解析の結果、角化、角栓など7つのGOタームに関連する遺伝子が、HTPの長期刺激により誘導された。一方、成分発現が有意に減少したGO経路は検出されなかった。RRBSにより、CpGアイランドメチル化は158遺伝子で2倍以上増加し、171遺伝子で2倍未満に減少していることがわかった。これらのCpGアイランドのメチル化は、遺伝子発現レベルの変化と相関がなかった。HTP投与によりS100A7発現が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の予定通り遺伝子網羅的解析を行ったため、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、特異的にエピジェネティックな発現変化を示した因子について、脱メチル化剤(5Aza)やヒストン脱アセチル化抑制剤(TSA)を用いて詳細なメチル化解析とアセチル化の解析を行い、高メチル化や異常アセチル化ヒストンを示すターゲット因子を検出する。さらにE-cigの有害成分により誘発される口腔がんの発症・進行に関わるエピジェネティクス修飾についてマウスを用いて確認する。
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