研究課題/領域番号 |
22K17240
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
|
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
普天間 拓 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (30930028)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | VEGF / HGF / 歯髄細胞 / 歯根膜細胞 / 共培養 / trophic factor / 再生歯科医療 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
外傷歯の脱落に対して再植治療が試みられるが、その治療成績は歯根膜の損傷状態と根の開存率に左右されることがわかっている。このことは再植時に歯根膜から歯髄に対して何らかの治癒促進シグナルが放出されていることを示唆しているが、そのメカニズムは未だ不明な点が多い。そこで歯根膜および歯髄から採取した細胞を共培養し、培養上清を網羅的に解析することで、歯髄と歯根膜間の治癒促進シグナルを明らかにできると考え本研究計画を立案した。
|
研究実績の概要 |
小児歯科臨床において、外傷に伴う歯の脱落は頻繁に遭遇する。歯の脱落に対して再植治療が試みられるが、再植治療において、受傷時の歯根膜の損傷程度、歯槽骨外に置かれていた時間および脱落歯の歯根膜の保存状態が治療経過を決定する重要な因子となる。しかしながら、適切な治療を行ったとしても治療後に歯髄生活力の減少、髄腔内の石灰化組織形成、歯根吸収が認められこのような併発症は治療経過の予測を困難にする。これらの併発症は歯髄と歯根膜の間で起こる血流の断裂が要因になると考えられているが、現在までにその詳細なメカニズムは不明である。さらに外傷による障害は、受傷歯はもちろん、歯槽骨を含む歯周組織にまで広範に及んでおり、歯周組織を含む複合的な再生療法の開発が急務である。 外傷歯の脱落に対して再植治療が試みられるが、その治療成績は歯根膜の損傷状態と根の開存率に左右されることがわかっている。このことは再植時に歯根膜から歯髄に対して何らかの治癒促進シグナルが放出されていることを示唆しているが、そのメカニズムは未だ不明な点が多い。そこで、歯髄細胞と歯根膜細胞との間にサイトカインを介したクロストークが存在すると仮定し、この相互作用メカニズムを解明する事とした。 はじめに歯髄組織および歯根膜組織から採取した細胞を共培養し培養上清に分泌されたtrophic factorを解析したところ、HGF、VEGFの発現が増加しクロストークに関与した候補因子の存在が明らかとなった。 次に歯根膜細胞に歯髄幹細胞培養上清を添加し、再生組織に栄養効果が生じるかどうかを検討した。 歯髄幹細胞培養上清の栄養効果によって歯根膜細胞は遊走と増殖が促進されたことを示唆された。 すなわちVEGFとHGFの両方が高度に発現し、相乗効果を示すことで外傷後の組織再生寄与している可能性が示唆された。本年度は以上の内容をまとめ学会報告したほか論文投稿し受理された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同一個体由来の抜去乳歯から歯髄組織および歯根膜組織を採取した。採取した組織から歯髄細胞と歯根膜細胞を分散し、水平型共培養装置を用いて共培養し培養上清を回収した。一方で対照群として、歯髄細胞と歯根膜細胞を水平型共培養装置にてそれぞれ単独で培養し培養上清を回収した。外傷後の歯髄組織と歯根膜組織間における治癒促進に関与する因子の検索するため、サイトカインアレイを用いて培養上清中のGrowth Factorに関するマーカーを網羅的に解析した。共培養群は対照群と比較してHGF、VEGFの発現が増加することを確認した。さらに歯根膜細胞に歯髄幹細胞培養上清を添加し、再生組織に栄養効果が生じるかどうかを検討すると、歯髄幹細胞培養上清の栄養効果によって歯根膜細胞は遊走と増殖が促進されたことを示唆された。VEGFとHGFの両方が高度に発現し、相乗効果を示すことで外傷後の組織再生寄与している可能性が示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに歯髄細胞と歯根膜細胞を平面培養して共培養することで相互作用に関与する因子の検索を実施してきた。今後の研究の推進方策としては、生体での環境を模倣し相互作用を検討することを考えている。具体的にまず歯髄細胞と歯根膜細胞を用いて細胞凝集塊を作成することを目標にしている。
|