研究課題/領域番号 |
22K17244
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大堀 文俊 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90937129)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 矯正学的歯の移動 / 骨細胞 / 細胞死 / 破骨細胞 / DAMPs / 歯の移動 |
研究開始時の研究の概要 |
歯に矯正力が加わると、圧迫側に破骨細胞が出現し骨吸収が生じることで歯は移動していく。圧迫側では歯槽骨内の骨細胞が細胞死を起こすことが報告されている。歯の移動に伴い細胞死した骨細胞から放出されるDAMPsが破骨細胞形成に影響を与えていると考えられているが、詳細は不明のままである。本研究は、骨細胞を用いて圧迫側を再現した環境(低酸素・低栄養)で細胞死を誘導し、その際に放出される多種多様なDAMPsをプロテオーム解析で網羅的に解析することで同定し、歯の移動におけるDAMPsの破骨細胞形成に与える影響をin vitroとin vivoの両方で解明することを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、骨細胞を用いて圧迫側の環境(低酸素・低栄養等)を再現し、その際に放出される因子が破骨細胞形成に与える影響、および歯の移動における骨細胞の細胞死とDAMPsが破骨細胞形成に与える影響を解明することである。これまでに(1)FACSを用いたprimary骨細胞の単離、(2)低栄養、低酸素環境下における骨細胞の解析、(3)骨細胞より放出されたDAMPsを含む因子が破骨細胞形成へ与える影響の解析、(4)矯正学的歯の移動時の骨細胞細胞死の破骨細胞形成への影響の解析を行った。 2% O2環境下で培養された骨細胞のRNAシークエンス解析およびreal-time PCRにより、Lipocalin 2 (LCN2)をコードするLCN2遺伝子発現が増加することを見出した。破骨細胞前駆細胞にRANKLの存在下でLCN2を作用させたところ、破骨細胞形成に変化が見られなかった。しかし、LCN2を骨細胞に作用させてreal-time PCRを行うと、RANKLの遺伝子発現が増加した。また、骨細胞を無血清培地で培養すると、血清が含まれている培地で培養した骨細胞と比較して細胞突起の長さに変化が見られた。さらに、細胞死させた骨細胞のconditioned mediumで破骨細胞前駆細胞を培養すると破骨細胞数が増加した。歯の移動2日から骨細胞の細胞死は観察され、歯の移動6日でempty lacunaeが増加した。TEMの解析により、圧迫側ではアポトーシス様骨細胞やネクローシス様骨細胞が観察されたため、歯の移動に伴い様々な種類の骨細胞の細胞死が存在することが明らかとなった。また、破骨細胞数は歯の移動6日から増加した。以上の結果より、矯正学的歯の移動における低酸素・低栄養環境下の骨細胞が発現する因子や細胞死に伴い放出されるDAMPsは、破骨細胞形成を増強していることが示唆された。
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