研究課題/領域番号 |
22K17253
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西山 沙由理 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (70911569)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | アンジオポエチン様因子 / 変形性顎関節症 / 軟骨 / 滑膜 |
研究開始時の研究の概要 |
近年慢性炎症への関与が報告されているANGPTL2に着目し、これまでの研究により、強力に軟骨基質分解酵素を誘導する性質を有することを明らかとしたが、その詳細なメカニズムは不明である。本申請研究は、下顎頭軟骨におけるANGPTL2によるIntegrinα5β1‐MAPKs/NF-kβ/AKT経路、LILRB2‐JAK/STAT経路およびTIMPs‐MMPs経路の3経路を介することで、相乗的にMMPsを高発現し、軟骨破壊に至るメカニズムを解明し、最終的にANGPTL2制御によるTMJ-OA新規治療・予防法の確立を究極の目標とする。
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研究実績の概要 |
TMJ-OAにおけるANGPTL2による軟骨破壊メカニズムを解析することを目的に、ヒト滑膜細胞を使用し検討を行っている。 まず、ヒト滑膜細胞に対してANGPTL2を添加し、炎症反応、基質分解酵素およびMMPsの内因性阻害因子であるTIMPsの遺伝子発現量の変化について定量PCR検討を行った。炎症反応マーカーであるIL-1β、IL-6の遺伝子発現は添加後1時間で有意に上昇し、3、6、12、24、48時間まで断時的に減少した。TNF-αは1、3時間まで優位に上昇し続け、6、12、24、48時間まで断時的に減少した。基質分解酵素であるMMP3、9、13は添加後1、3、6、12、24、48時間で優位に上昇し続けた。 MMPsの内因性阻害因子であるTIMP1、2、3は添加後6時間で優位に減少した。これらの結果を基に、LILRB2中和抗体およびIntegrinα5β1中和抗体を各々添加し、抗炎症効果および基質破壊抑制効果を検討した。ヒト滑膜細胞に中和抗体を添加し、12時間後にANGPTL2を添加、6時間後に細胞を回収した。その結果、ANGPTL2により有意に亢進した炎症マーカーおよび基質分解酵素が有意に抑制された。現在、ANGPTL2添加下においてMMPs分泌機構の阻害がMAPKs、NF-kβ、AKT、JAK/STATシグナルに及ぼす影響についてwestern blot解析を行っている。 今後、MMPs分泌機構の阻害剤が滑膜細胞の細胞増殖、細胞死へ与える影響について検討する。動物実験については、ラット下顎頭高負荷モデルを用いた検討を開始したところである。阻害剤を顎関節部にシリンジにて局所投与し、2か月後の下顎頭形態をX線写真およびマイクロCTを用いて、三次元的に解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は育休のため研究は進んでいないが、引き続き、Integrinα5β1‐MAPKs/NF-kβ/AKT経路の詳細なメカニズムの解明、LILRB2‐JAK/STAT経路およびTIMPs‐MMPs経路を介したMMPs誘導メカニズムの解明、これら3経路の相乗効果メカニズムを解明していくとともに動物実験を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験において、MMPs分泌機構阻害剤が滑膜細胞における下顎頭軟骨組織の破壊抑制効果を有することはほぼ確実であり、今後はその詳細なメカニズムを探索していく必要がある。 動物実験は、すでに確立されたラットの下顎頭高負荷モデルを用い、MMPs分泌機構の阻害剤の局所投与が下顎頭軟骨組織の破壊状態に与える検討について、組織染色およびCTによる解析を行っていく。
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