研究課題/領域番号 |
22K17285
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
松山 祐輔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (80830124)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 歯科学 / 疫学 / 公衆衛生学 / 歯科疫学 / 公衆衛生 / 口腔と全身 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔疾患は世界の2人に1人以上にみられる公衆衛生上の重要な課題である。多くの人が罹患するため、歯科医療費の社会的負担も大きい。しかし、現状では口腔と全身の健康の因果関係が明らかでないため、口腔疾患の影響の大きさを適切に推定できず、口腔の重要性が過小評価されている可能性がある。本研究は地域環境の違いを活用した自然実験により、口腔と全身の健康の因果関係を明らかにする。さらに、多様な口腔関連QoLを効用値に換算するアルゴリズムを開発する。これにより、口腔保健推進により得られる社会のWell-being増進量を明らかにし、口腔保健政策における医療資源配分のための知見を得る。
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研究実績の概要 |
本年度は居住地域の水道水中フッ化物濃度のばらつきを自然実験とした疑似ランダム化比較試験の研究を複数実施した。日本の出生コホートデータに水道統計から得た居住地域の水道水中天然フッ化物濃度の情報を結合し、追跡期間中の転居を考慮するためにCross-Classifiedマルチレベルモデルをもちいて水道水中天然フッ化物濃度とう蝕治療経験の関連を解析した。解析の結果、フッ化物濃度が高い地域ではう蝕治療割合が低かった(0.10 ppm,0.10-0.19 ppm, 0.20-0.29 ppm, >=0.30 ppmの地域でそれぞれ35.0%, 35.4%, 33.4%, 32.3%)。すべての共変量を調整後、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm増加するごとに、う蝕治療の割合が3%低下した。さらに、米国成人の大規模疫学データに居住地域の水道水フッ化物濃度の情報を結合し、水道水フロリデーションへの曝露を自然実験とし残存歯数と循環器疾患の因果関係を分析した。操作変数法をもちいた分析の結果、幼少期の水道水フロリデーションにより成人期の歯の喪失が0.61本減少し、喪失歯が一本増えることで心疾患既往のある確率が1%ポイント増加することが明らかになった。一方、喪失歯と脳卒中の既往は統計的に有意ではないものの、喪失歯が1本増えることで脳卒中既往のある確率が0.2%ポイント増加した。並行して遺伝的リスクスコアをもちいたメンデルランダム化分析による自然実験研究も進めている。さらに、口腔疾患の疾病負担を他の疾患と比較可能にするアルゴリズム開発のため、日本国民を対象としたWeb調査データをもちいて口腔関連QoL得点と効用値(utility score)の関連の分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた自然実験研究のためのデータセット作成および論文執筆を複数実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き疫学データベース解析を実施する。特に口腔関連QoLの効用値変換アルゴリズム開発およびメンデルランダム化分析の研究を完成させることを目指す。
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