研究課題/領域番号 |
22K17304
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐藤 利栄 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (20804892)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | プロトンポンプ阻害薬 / 国民医療費 / 保険診療 / レセプトデータ / 過剰処方 / 不適切処方 / インターネット調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本におけるプロトンポンプ阻害薬(以下PPIとする)の処方実態と背景を調査し、PPIの過剰処方・不適切処方について検討する。研究1では、日本のPPI処方は過剰かを調査するため、一般市民を対象としたインターネットを用いた全国調査により、日本におけるPPI処方の実態調査を行い、海外からの先行研究の結果を用いて国際比較検討を行う。研究2では、日本のPPI処方は保険診療として適切かを調査するため、島根大学医学部付属病院のレセプトデータを用いた各セッティングにおけるPPI処方の実態調査を行う。研究3では、なぜ不適切処方が起きるのかを、医師を対象としたインターネットを用いた全国調査で検討する。
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研究実績の概要 |
プロトンポンプ阻害薬(以下PPIとする)は、胃酸分泌を抑制することにより、胃酸関連疾患を初めとする幅広い疾患の予防および治療において重要なキードラッグであり、その処方は日本を含め世界的に増加し続けている。PPIの過剰処方・不適切処方は各国で指摘されているが、日本における過剰処方・不適切処方については、保険診療において保険病名がつけられているために表出しづらく、検討されていないのが現状である。そこで本研究では、日本のPPI処方の現状実態を解明し、日本のPPI処方は保険診療として適切か、そして、なぜ不適切処方が起きるのかについて単施設のレセプトデータを使用した調査、および全国のインターネット調査を用いて検討することを目的としている。PPIの過剰処方・不適切処方の実態とその背景を明らかにし、それらを抑制する方策を提言する事により、医療の適正化を図り、現在の日本の医療に急務である国民医療費抑制に貢献することを最終的な目標としている。 2023年度は、単施設におけるPPI処方について、処方が適切であるかを検討するために、当該施設におけるPPI処方の実態調査を進めた。まず、PPI処方がルーチンとして行われやすい急性期病棟(集中治療室、ハイケアユニット、救命救急センター病棟)におけるPPIの処方実態と、処方された患者背景についてデータセットをまとめた。患者背景については、どのような因子がPPI処方開始、継続、終了に関与しているのかに交絡している可能性があるのかを先行文献で探ったが、はっきりわからなかった。そこで、拾える限り多くの情報をカルテ内から収集する作業を行った。また、外来患者および入院患者におけるPPI処方の実態調査のため、当該施設の医事課との調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、単施設のレセプトデータを使用した研究および全国の一般住人および医師を対象としたインターネット調査からなる。単施設のレセプトデータおよび急性期病棟におけるPPI使用についての実態調査は、該当施設での医療行為(プラクティス)が保険診療上適正であるかの評価の側面を持ちうるということで、2022年度に倫理委員会の承認を得るのに時間を要した。このため、本格的調査は2023年度から開始された。 急性期病棟におけるPPI使用についてのデータセットの作成に関しては、一人一人データを手で拾う作業になるため、かなりの時間を要している。加えて、研究責任者が海外留学を行っており、研究が実質的に半年間進んでいない状況である。このため、レセプトデータの解析についてもまだ解析には至っておらず、現状の進捗状況としては、遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、単施設におけるPPI使用についてのデータセット作成を完了させ、単施設におけるPPI使用の実態解明のための解析を行いたいと考えている。具体的には、2022年1月1日から12月31日までに当該施設の急性期病棟に入院した全科の患者を対象に、PPI投与の有無、投与期間、レセプト病名の妥当性などを検討する。また、当該施設のレセプトデータを使用し、外来および入院患者におけるPPI使用の実態調査も行っていく。具体的には、2022年1月1日から同年12月31日期間内の一日(日未定)における当該施設における入院および外来患者のうち、PPI処方をうけた患者の数、レセプト病名、併用された薬などについての情報を調べることでPPI使用の実態調査を行う。また、2022年1月1日から同年12月31日までに当該施設おいてPPIの処方を受けた外来患者を対象にし、その投与期間、レセプト病名、患者背景や、上部消化管内視鏡検査の施行の有無などを併せて調査し、PPI処方が適切かどうかを検討する予定である。 インターネットによる一般住民および医師に対する全国調査も並行して進める計画である。具体的には、一般住民に対し、PPIをはじめとする処方薬の内容を調査し、PPI処方の割合を明らかにする。その際、患者のPPI処方希望の有無、胃酸関連症状の有無、副作用の知識の有無等についても併せて調査する。医師に対しては、シナリオケースを使用し、医師が不適切と思われる処方を行っているかどうかを調査する。各ケースで医師がどのような処方を行っているか、長期投与を行っているか、その際に使用する保険病名、上部消化管内視鏡検査を行っているか、なども併せて調査する予定である。
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