研究課題/領域番号 |
22K17342
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
平野 哲史 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (70804590)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 神経炎症 / ミクログリア / エクソソーム / microRNA / バイオマーカー / 影響評価 / 神経毒性 / 農薬 |
研究開始時の研究の概要 |
現代において我々は数万の化学物質に無自覚に曝露されており、これらの一部はグリアの活性化による「神経炎症の惹起」を介して種々の神経疾患の発症要因となる。本研究では農薬類をモデル化学物質とし、グリア-ニューロン間クロストークの攪乱を神経毒性の上流イベントとして捉えることで、化学物質曝露による「神経炎症の惹起」に関する有害影響パスウェイ(AOP)を解明し、新規バイオマーカーの開発に応用することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度においては、フェニルピラゾール系農薬フィプロニル(Fip)の体内主要代謝物であるフィプロニルスルホン(FipS)がミクログリアを活性化するメカニズムを明らかにすることを目的とし、細胞内の代謝状態に関するミトコンドリア機能の評価やエクソソームに含まれるmicroRNAとmRNAの統合的ネットワーク解析を行った。 ヒト不死化ミクログリアであるHMC3にFipおよびFipSを曝露し、JC-10蛍光色素および細胞外フラックスアナライザーを用いてミトコンドリア膜電位および代謝機能を評価した結果、FipおよびFipSは濃度依存的なミトコンドリア膜電位の低下を引き起こし、FipSではその作用が顕著に大きくなることを見出した。さらにFipS曝露直後において、ミトコンドリアにおける最大呼吸および予備呼吸能の低下に加え、プロトンリーク量の増加がみられることを明らかにした。またFipS曝露により2倍以上発現上昇したmicroRNA29種を同定し、qRT-PCRによりmiR-665等のmicroRNA発現が上昇していることを確認した。Ingenuity Pathway AnalysesソフトウェアのmicroRNA target filterを用いて、それらの標的として発現低下が予想され「Axonal Guidance Signaling」のパスウェイに関するmRNAから構成された神経分化に関する機能的ネットワークを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、神経炎症を惹起するFipSがミトコンドリア機能低下を引き起こし、さらに活性化したミクログリア由来のエクソソームに含まれるmicroRNAがニューロンの分化に影響を及ぼす新たな相互作用メカニズムの一端が明らかになった。脳内においてグリアやニューロンから分泌されるエクソソーム由来microRNAは血液脳関門を通過し末梢血、尿中においても安定的に検出可能であるため非侵襲的バイオマーカーとしての応用が検討されており、本研究により神経炎症の惹起を検出可能なバイオマーカーの候補を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、メタボローム解析等を活用し、ミクログリア中に含まれる代謝産物に関する網羅的解析を行うことで、ミクログリア-ニューロン間における細胞間相互作用に化学物質が及ぼす影響に関するさらなるメカニズムを明らかにする。さらにバイオマーカー候補となるmicroRNAを神経細胞に導入することでmicroRNAの機能評価を行う。
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