研究課題/領域番号 |
22K17355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
原 崇人 東邦大学, 薬学部, 講師 (90805681)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / カドミウム / 脱着傷害 / 密着結合 / Claudin-5 / ZO-1 / 毒性学 / タイトジャンクション |
研究開始時の研究の概要 |
カドミウムは動脈硬化症の危険因子であり,食事や喫煙を介して非意図的に曝露されたカドミウムは血管を通って各組織へと移行・蓄積する。当教室は,①カドミウムに曝露した血管内皮細胞は単層構造に円孔状の脱離が生じ,②細胞の脱着を伴うこのような「脱着傷害」は他の重金属に例を見ないカドミウムに特異な細胞毒性であることを報告している。しかしながら,その分子機構は未解明である。申請者は最近,細胞間接着の一種である密着結合に関わる遺伝子がカドミウム曝露により発現低下することを見出した。そこで本研究では,血管内皮細胞の脱着傷害に対する密着結合の寄与と,その形成にカドミウムが及ぼす影響を解析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、培養血管細胞に対してカドミウムを処理することで特異的に生じる、単層構造からの細胞の脱離(脱着傷害)の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。2022(令和4)年度は、血管内皮細胞間の結合様式の中でも最も強力な結合を形成する密着結合にカドミウムが及ぼす影響を解析した。 まず、血管内皮細胞において発現が認められる密着結合関連分子を探索したところ、膜貫通分子のclaudin-5、12、occuludinと、これらの裏打ち分子であるZO-1、2、3のmRNAおよびタンパク質発現が認められた。次に、これらの分子に対するカドミウムの影響を検討したところ、claudin-5およびZO-1のmRNAとタンパク質がカドミウムの濃度依存的に発現抑制されることが明らかとなった。次に、カドミウムと同じく毒性重金属として知られる亜ヒ酸および生体必須微量元素であるマンガンと亜鉛を用いて同様の解析を行い、本現象の特異性を検討した。亜ヒ酸処理下ではclaudin-5のみ濃度依存的に発現が低下し、マンガンおよび亜鉛の処理下では濃度依存的にZO-2およびZO-3の発現が抑制された。検討した4種類の重金属は、血管内皮細胞の密着結合構成分子の発現に対する影響がそれぞれ異なり、カドミウムだけが細胞間結合分子であるclaudin-5と、裏打ちタンパク質ZO-1の両方を発現抑制させた。 今年度得られた結果は、本研究の背景にある『脱着傷害のカドミウム特異性』を説明しうる成果である。そこで、2023年度以降は、claudin-5およびZO-1に注目し、(1)両分子がカドミウムによる内皮細胞の脱着傷害に対する責任タンパク質であるかの解析、および(2)カドミウムによる両分子の発現抑制シグナルの解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022(令和4)年度は実験条件の検討や研究対象とする分子の絞り込みなどに注力し、カドミウム特異的な標的分子を明らかにすることが大きく、次年度以降の予定に含まれている毒性試験に基づく責任分子であるかの判断や、発現抑制に関わるシグナル解析に割くことのできる時間を十分に捻出できたことが大きい。そのため研究計画に沿っておおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)毒性試験に基づく責任分子であるかの判断 Claudin-5とZO-1の単独あるいは両方の発現を抑制ないし増加させた細胞にカドミウムを処理し、脱着傷害と細胞傷害の程度に差が生じるか乳酸脱水素酵素の逸脱量と形態学的観察に基づく解析を行う。 (2)発現抑制に関わるシグナル解析 当研究室でこれまで明らかにしているカドミウムによって活性化している経路を阻害することで、claudin-5およびZO-1の発現抑制が消失するか解析する。各種阻害剤の前処理下でカドミウムを処理し、定量的RT-PCRならびにウェスタンブロットを実施する。
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