研究課題/領域番号 |
22K17357
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
城山 光子 麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (50908001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Trichuris trichiura / Macaca fuscata / ヒト鞭虫 / ニホンザル / 寄生虫 / 人獣共通感染症 / 系統解析 / 土壌伝播蠕虫 / 鞭虫 |
研究開始時の研究の概要 |
鞭虫(Trichuris trichiura)は土壌を介して感染する腸管寄生蠕虫で、全世界で8億人が感染していると推測される。本研究は、人獣共通感染症としての観点から、日本におけるヒトの鞭虫の感染源を特定することを目的とする。特に、国内で従来は感染源として重視されていなかったニホンザル(Macaca fuscata)に着目する。 具体的には、人体症例由来の鞭虫と、ニホンザルに寄生する鞭虫との間の分子系統関係の解析および遺伝子多様性の検討を行う。それらの結果から、日本人の鞭虫の感染源としてニホンザルの重要性について考察し、鞭虫の新たな感染予防対策の一助となる研究としたい。
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研究実績の概要 |
ヒト鞭虫Trichuris trichiura(以下Tt)はヒトに寄生する土壌伝播線虫である。ヒト以外の霊長類にも寄生するが、近年の遺伝子解析の結果から、Ttは隠蔽種である可能性が示唆されている。実際、研究代表者が日本のヒト由来Ttとニホンザル由来Ttの遺伝子配列を解析したところ、差異が認められた。そこで、両者の関係を比較検討するため、福島市の野生ニホンザル(個体数調整で捕獲された個体)から鞭虫を回収し、虫体の遺伝子解析および比較分析を行なった。 その結果、野生ニホンザル86頭中81頭(94%)から2,951隻の鞭虫が検出された。陽性サル1頭あたりの感染数は最小1隻、最大321隻で、中央値は16隻であった。まず形態を調べたところ、虫体には数珠状の食道細胞、交接刺・交接刺鞘を認め、虫卵を含めたその特徴はTtと同定するに充分であった。次に、3頭から検出された34隻を用いて18SリボソームRNA遺伝子(18S)およびITS2領域(ITS2)の部分配列を解読した。解析したニホンザル由来Ttの配列は全検体でそれぞれ完全に一致した。さらに、ニホンザル由来Ttと同所の患者由来Ttを比較した結果、ITS2の部分配列は完全に一致した。しかし、18Sを解読した範囲(1,749 bp)では、1塩基が異なった。系統解析からは、患者由来Ttはニホンザル集団由来Ttと同一の系統と検証されたので、次年度は残りのニホンザル由来Tt(約2,900隻)を解析し、患者由来Ttとの関係を明らかにする。なお、多数の虫体を効率良く解析するため、今年度は新たなリアルタイムPCRのアッセイ系を構築したので、次年度の解析にこれを適用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の目標を達成するために必要な採材が完了し、遺伝子解析および系統解析も進めていることから、区分2を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
採材したニホンザル由来Ttおよびヒト由来Ttについて、複数の遺伝子マーカーを用いて遺伝子解析を継続する。系統解析を実施し、日本人の鞭虫の感染源としてニホンザルの重要性について考察する。
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