研究課題/領域番号 |
22K17361
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 菜穂美 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任助教 (80836164)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 子ども / 思春期 / 抑うつ傾向 / 精神神経発達 / 出生コホート / 経時データ解析 / 発達障害傾向 / 問題行動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本における子どもの幼少期・学童期の問題行動・発達障害傾向と思春期の抑うつ傾向との関連を縦断的に明らかにすることを目的とする。研究対象者は、前向き出生コホート研究である「環境と子どもの健康に関する研究・北海道スタディ」に参加者する子どもとその親に質問票調査を行う。14~15歳の子どもの抑うつ、不安、双極性障害の傾向を目的変数として、出生コホート研究にてそれ以前に収集した子どもの問題行動・発達障害傾向などの軌跡との関連を縦断的に一般化線形混合モデルで解析する。思春期の抑うつ傾向とそれ以前の発達障害傾向との関連を検討することにより、青年期に継続する疾病と社会的予後の向上を図る。
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研究実績の概要 |
本研究は日本における子どもの幼少期・学童期の問題行動・発達障害傾向と思春期の抑うつ傾向との関連を縦断的に明らかにすることを目的とする。研究対象者は、前向き出生コホート研究である「環境と子どもの健康に関する研究・北海道スタディ」に参加者する子どもとその親に質問票調査を行う。14~15歳の子どもの抑うつ、不安、双極性障害の傾向を目的変数として、出生コホート研究にてそれ以前に収集した子どもの問題行動・発達障害傾向などの軌跡との関連を縦断的に一般化線形混合モデルで解析する予定である。思春期の抑うつ傾向とそれ以前の発達障害傾向との関連を検討することにより、青年期に継続する疾病と社会的予後の向上を図る。 本対象集団では、子どもが5歳、6歳、8歳の時点での発達障害および問題行動の傾向に関する情報を質問票調査にて収集済みである。加えて12歳時点の発達障害の傾向を追跡するため、調査対象者の保護者に対して質問票調査を実施する。発達障害傾向は、標準化された調査票であるADHD-RS(Attention Deficit Hyperactivity Disorder-Rating Scale)を用いて評価する。 抑うつ傾向については、14~15歳の子ども本人とその親に対して調査を実施する。子ども本人からは、標準化されたうつ病・不安障害などの精神疾患スクリーニングと、向社交性について質問票を用いて測定する。また、抑うつ傾向の予防因子として知られている身体的運動や相談できる相手の存在などの利用可能なソーシャルキャピタルの測定を検討している。親への質問項目としては、親から見た子どもの精神神経発達状況をSDQで測定する。また、子どもの抑うつ傾向の重要なリスク要因となる親本人の抑うつ傾向および健康状態についても測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに終了した5歳児、6歳児に対するSDQ、ADHD-RS、SCQの調査に加えて、8歳児に対してADHD-RS、ASSQの調査を完了しつつある。12歳児に対する発達障害傾向は、調査票であるADHD-RS(Attention Deficit Hyperactivity Disorder-Rating Scale)を、3,562件送付し、2,341件の返信を得ている(回収率65.7%)。今後も継続してデータの蓄積を予定している。また、より幅広い年齢の10~19歳児に対して、SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)およびこれまでに受けた発達支援に関する調査票を5,498件発送し、2,664件の返送を得ている(回収率48.5%)。 抑うつ傾向については、14~15歳の子ども本人とその親に対して実施する質問票の内容の選定が進んでいる。本人からは、標準化されたうつ病・不安障害などの精神疾患スクリーニングと、向社交性について質問票を用いて測定する。また、抑うつ傾向の予防因子として知られている身体的運動や相談できる相手の存在などの利用可能なソーシャルキャピタルの測定を検討している。親への質問項目としては、親から見た子どもの精神神経発達状況をSDQで測定する。また、子どもの抑うつ傾向の重要なリスク要因となる親本人の抑うつ傾向および健康状態についても測定する。交絡要因として家庭を取り巻く社会経済要因的環境を明らかにするため、ストレスフルイベント(災害発生や近親者の死別など)や、家庭の社会経済要因(両親の婚姻状況、就労状況、世帯年収など)も取り入れた。Web調査のプラットフォームの選定も進み、2023年度に倫理委員会での審査を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
引きつづき、12歳児に対する発達障害傾向に関する調査、10~19歳児に対するSDQおよびこれまでに受けた発達支援に関する調査票の送付を継続する。収集した発達指標の得点を集計し、その軌跡を示す。加えて、経時的に観察した精神神経発達について、発達支援の影響を一般化線形混合モデルで効果を予測する。また、精神神経発達指標の得点が基準値を超えた対象者の中で、支援を受けた人と受けなかった人の特徴を比較する。目的変数を支援の有無、説明変数を両親と子どもの特徴として、一般化線形モデルで相対リスク比を求める。 14~15歳の子ども本人とその親を対象とした、抑うつ傾向に関する調査を開始し、データの蓄積を進める。る14~15歳の子どもの抑うつ・不安・双極性障害傾向を目的変 数として、子どもの5歳、6歳、8歳、12歳で測定した発達障害傾向(問題行動・ASD・ADHDなど)の軌跡との関連を一般化線形混合モデルで解析する。加えて、5歳、6歳、8歳、12歳の発達障害傾向と14~15歳の子どもの抑うつ傾向との関連を共分散構造分析で検討する。共変量としては、出生時から収集してきた両親の特徴(出産時年齢、BMI、喫煙・飲酒習慣、最終学歴や世帯年収の社会経済要因、健康状態)および、子どもの特徴(性別、出生順、既往歴や服薬状況など)の情報を用いる。また、国外の研究で抑うつ傾向の予防因子として報告された身体的運動や相談できる相手の存在なども調査し、子どものレジリエンスを高める要因を探る。これらの分析から、発達障害を持つ子どものうつ病のリスク要因となる発達障害的特徴や、発達障害傾向が最も抑うつ傾向へ影響するタイミングを明らかにして、予防対策に貢献することを目指す。
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