研究課題/領域番号 |
22K17392
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 浩輔 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (80903830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 糖尿病 / 生活習慣病 / 社会決定要因 / 因果推論 / 機械学習 / 社会経済因子 / 心血管疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
貧困や孤立などの慢性的な社会ストレスは、糖尿病・心血管イベントの重要なリスク因子である。様々な社会リスクが複雑に関わりあう一方、社会情報へのアクセスや古典的な統計手法の限界から、糖尿病疫学においてそれらを複合的に検討したエビデンスは乏しい。
本研究では全国保険者データを用いて、糖尿病及び心血管イベントを引き起こす社会決定要因を同定し、その要因による慢性的な社会ストレスが糖尿病を介して心血管イベントを発症するメカニズムを解明する。本研究により病態・病勢のみならず個人の生活史まで踏まえた糖尿病予防・治療のアプローチを提唱し、健康格差の縮小に貢献する政策・診療ガイドラインへの示唆を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題のテーマにおいて採択後の2022年度から以下6本の責任著者論文を中心に査読付き国際誌に研究成果を発表した。社会決定要因の同定という観点では全国土木のデータを用いて30-49歳の働く世代において、低収入と心血管イベントリスク上昇(糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満)の関連を示し、その収入による健康格差が過去4年間で拡大していることを明らかにした(Inoue K. Endocrine Practice 2022)。また米国の国民健康栄養調査データを用いて、教育歴が低いほど糖尿病による死亡リスク上昇の程度が大きいことを示した(Komura T. Mayo Clin Proc Innov Qual Outcomes 2023)。さらに同じデータに因果媒介分析を応用し、親の学歴が子供の肥満に与える影響のうち約20%が収入に寄与することを示した(Inoue K. Lancet Reg Health Am. 2023)。個人のばらつき評価という観点では、糖尿病患者に多く認められる冠動脈石灰化による心血管イベントリスクの上昇がどの程度異質性を有するかを「因果フォレスト」という機械学習モデルを用いて定量的に示し(Inoue K. Circulation. 2023)、治療効果の高い集団に焦点を当てたHigh-benefit approachという新しい治療戦略を世界に先駆けて提唱した(Inoue K. Int J Epidemiol 2023)。現在ACCORDという糖尿病患者を対象とした大規模ランダム化比較試験を用いて、厳格な血糖管理・血圧管理が有効である個人の特徴を明らかにした(国際誌でリバイズ対応中)
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