| 研究課題/領域番号 |
22K17401
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| 研究種目 |
若手研究
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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| 研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
財津 將嘉 産業医科大学, 高年齢労働者産業保健研究センター, 教授 (10372377)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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| キーワード | 職業格差 / がん / 労働災害 / 転倒 / 病理組織 / 免疫染色 / 職業曝露 / 社会格差 / 生活習慣 |
| 研究開始時の研究の概要 |
命の格差の解消のため、がん及び周辺疾患の死亡の職業格差の解明が求められている。申請者は、日本のがんや循環器疾患の罹患リスクの職業格差を、職業間で異なる少量飲酒などの生活習慣や免疫応答の影響と、欧米諸国と異なる格差の機序を通じて明らかにしてきた。本研究は、がん及び周辺疾患による死亡の職業格差を解明するため、職業間で異なる免疫応答や病理組織に、職業曝露が関連する身体活動、少量飲酒や加熱式タバコなどの生活習慣を組み込んだ精緻な社会格差モデルを開発し、命の格差の解消に向けた政策への貢献を目指す。
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| 研究実績の概要 |
命の格差を是正するためには、がんおよびその周辺疾患における死亡の職業格差の解明が不可欠である。本研究では、日本におけるがんおよび関連疾患による死亡の社会格差を明らかにするとともに、職業によって異なる免疫応答や病理組織の違いに着目し、それらに影響を及ぼす可能性のある職業曝露(身体活動、少量の飲酒、加熱式タバコなどの生活習慣)を媒介要因として組み込んだ社会格差モデルを構築し、命の格差是正に資する政策提言を目指している。腎細胞がんの病理組織を職業別に比較した結果、high-grade腎細胞がんの割合はmanual職種で有意に高く、また免疫応答経路の一つであるhigh mobility group box 1(HMGB1)の陽性率についても、細胞質内HMGB1陽性率がmanual職種で高い傾向が認められた。周辺疾患として労働災害に注目し、労働者死傷病報告および労働力調査のデータを用いて、休業4日以上の労働災害に関する年齢調整発生率を推計した。その結果、死亡を伴う労働災害は年間5%の割合で減少していた一方、全体の労働災害発生率には有意な変化が認められなかった。さらに循環器疾患に関しては、欧米とは異なり、upper non-manual職種における心疾患の罹患リスクが高く、リモートワークによる喫煙量の増加が関与している可能性が示唆された。加えて、職場での転倒災害については、加熱式タバコや生活習慣との関連が明らかとなり、加齢に伴う身体バランス機能の低下は、日常的な歩行習慣によって改善され得ることも示された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、がんおよびその周辺疾患による死亡の職業格差を解明することを目的としている。具体的には、職業によって異なる免疫応答や病理組織の特性に着目し、それらに影響を及ぼすと考えられる身体活動や生活習慣(職業曝露)を組み込んだ、精緻な社会格差モデルを構築し、命の格差の是正に資する政策提言を目指している。これまでに、病院患者データ、政府統計、がん登録、コホートデータなどを用いて、日本におけるがんの予後および病理組織に職業格差が存在することを明らかにした。さらに、この知見に基づき、細胞レベルでの免疫応答経路におけるがんリスクの職業差を検討し、腎細胞がん患者におけるHMGB1(High Mobility Group Box 1)陽性率の職業間差を確認した。これらの成果は、国内外の研究協力者との打ち合わせや情報共有を通じて連携を深めるとともに、学会発表および論文投稿を通じて発信している。特に、労働災害に関する研究成果は、2024年に開催された第34回国際産業保健学会にて発表した。また、循環器疾患および転倒に関連するデータについては、査読付き論文として発表を行った。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究は令和7年度が最終年度であるため、これまでの成果を踏まえ、以下の方針で研究を総括・発展させる。まず、がんおよび周辺疾患に関する個別の死因に着目し、社会階層別の死亡リスクの違いを検証するとともに、喫煙や身体活動などの生活習慣がこれらのリスクにどのように関与しているかを明らかにする。また、病院患者データを用い、慢性炎症やストレス関連のバイオマーカーにおける職業間の差異の分析を引き続き進める。さらに、労働者の周辺疾患としての転倒災害および身体バランス機能の低下に関して、社会階層と関連する喫煙、生活習慣病、睡眠、身体活動などの要因との有意な関連性が、労働者コホートによる横断研究により示された。これを踏まえ、因果関係の検証を目的とした追跡調査(縦断研究)を実施する。併せて、非侵襲的な方法による身体バランス機能の計測を継続的に実施し、これらのデータを統合・解析することで、職業や生活習慣と健康指標の関連を多面的に評価する。最終年度として、これらの成果を総合的に取りまとめ、国内外の学術誌・学会等で積極的に発表・発信する予定である。
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