研究課題/領域番号 |
22K17408
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
齋藤 翔 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国際感染症センター 医師 (40809274)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | カルバペネム耐性 / 薬剤耐性 / 予後 |
研究開始時の研究の概要 |
カルバペネム系抗菌薬への薬剤耐性はサイレントパンデミックとして国際的な問題と認識され、感染症の実態解明は緊急課題である。海外とカルバペネム耐性遺伝子の分布が異なる本邦においては、本邦独自の情報が必要であると考えられる。私たちは日本国内におけるカルバペネム耐性菌の分布、感染症による死亡率、薬剤感受性を明らかにしてきたが、菌種が多岐にわたるため菌種毎のデータが不足しており、重大なデータの欠損であると考えた。本研究では継続的に症例を集積し、菌種毎に解析することでカルバペネム耐性菌感染症が臨床に与えるインパクトを明らかにする。さらに非耐性菌患者と比較し耐性化自体が患者に及ぼす影響の大きさを解明する。
|
研究実績の概要 |
日本全国の12施設からカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株、およびコントロールとなるカルバぺネム感受性菌の臨床情報を収集した。2022年3月31日時点で823株、527症例の臨床情報を収集し、現在も継続中である。 2022年10月には日本感染症学会東日本地方会においてカルバペネム耐性(CR)および感性(CS)緑膿菌の予後比較に関する発表を行った。CR緑膿菌感染例35例(CR群)とCS緑膿菌感染例35例(CS群)を解析した。両群の年齢の中央値は72歳、男性の割合は71.4%/74.3%であった。既往歴は脳血管疾患を20.0%/22.9%、固形臓器腫瘍を34.3%/42.9%、糖尿病を17.1%/11.4%に認め、Charlson Comorbidity indexの中央値は両群ともに2であった。感染症の内訳は血流感染症11.4%/11.4%、呼吸器感染症42.9%/45.7%、尿路感染症17.1%/25.2%、創部感染症11.4%/17.1%、胆管炎5.7%/2.9%、膿胸5.7%/2.9%であった。入院から菌検出までの日数は両群ともに6日以上が82.9%を占めた。30日死亡率はCR/CS群で14.3%/8.6%、死亡例を除いた検出後の入院期間の中央値は39日/33.5日であった。CR緑膿菌感染例はCS緑膿菌感染例と比較して死亡率が高く、入院期間が長い傾向にあることを明らかにした。 またカルバぺネム耐性菌の遺伝子解析を進めたため2023年度に発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本全国の12施設からカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株、およびコントロールとなるカルバぺネム感受性菌の臨床情報を収集した(2022年3月31日時点で823株、527症例)。 2022年10月には日本感染症学会東日本地方会においてカルバペネム耐性(CR)および感性(CS)緑膿菌の予後比較に関する発表を行った。CR緑膿菌感染例35例(CR群)とCS緑膿菌感染例35例(CS群)を解析した。両群の年齢の中央値は72歳、男性の割合は71.4%/74.3%であった。既往歴は脳血管疾患を20.0%/22.9%、固形臓器腫瘍を34.3%/42.9%、糖尿病を17.1%/11.4%に認め、Charlson Comorbidity indexの中央値は両群ともに2であった。感染症の内訳は血流感染症11.4%/11.4%、呼吸器感染症42.9%/45.7%、尿路感染症17.1%/25.2%、創部感染症11.4%/17.1%、胆管炎5.7%/2.9%、膿胸5.7%/2.9%であった。入院から菌検出までの日数は両群ともに6日以上が82.9%を占めた。30日死亡率はCR/CS群で14.3%/8.6%、死亡例を除いた検出後の入院期間の中央値は39日/33.5日であった。CR緑膿菌感染例はCS緑膿菌感染例と比較して死亡率が高く、入院期間が長い傾向にあることを明らかにした。 またカルバぺネム耐性菌の遺伝子解析を進めたが、2022年度は未発表であるため2023年度に発表予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度にはさらにカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株の収集を行う予定である。さらにネットワークの拡充を目指し施設拡大を行う予定である。 これまで蓄積してきたデータをもとに、腸内細菌目細菌、ブドウ糖非発酵菌、エロモナスについての患者背景、感受性、臨床的予後をまとめ、感染群と保菌群における差異を見出す。解析については完了しているため、論文としてまとめ国際誌に投稿する。 さらにStenotrophomonas maltophiliaについて臨床的、分子疫学的解析を行い、国際学会で発表をおこなう。その後、論文化し国際誌への投稿準備を行う。 免疫不全者におけるカルバペネム耐性菌感染症とカルバペネム感性菌感染症の予後を比較解析し、カルバペネム耐性菌感染症が臨床的に与えるインパクトを明らかにする。本データについても国際学会で発表を行い、その後論文投稿の準備を進める。
|