研究課題/領域番号 |
22K17410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
三山 豪士 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 公衆衛生部, 研究員 (30846241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | RSウイルス感染症 / 新型コロナウイルス感染症 / 早期探知 / 実効再生産数 / 感染症疫学 / 2次感染者数分布 / 流行予測 / 地域間移動人流量 / 呼吸器感染症 / 疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、呼吸器感染症の時空間的な感染拡大機構と移動制限による感染症対策効果を明らかにすることである。また、流行時期が変動したRSV感染症及びインフルエンザ流行の早期探知方法についても検討する。 人流情報を用いた数理モデルを構築し、新型コロナウイルス感染症の①空間的な感染拡大機構を把握し、②特定の地域の(感染症流行に対する)寄与度、③地域別の感染症対策効果、④人流量の増大するイベントの影響について検証する。RSV感染症及びインフルエンザについては、⑤流行の早期探知方法、⑥時空間的感染拡大機構の解明について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、呼吸器感染症の時空間的感染拡大機構を解明すること、地域間移動人流量の変化等が感染拡大に影響する要因を分析すること、及び流行を早期に探知し予測することを目的としている。 時空間的感染拡大機構の解明:地域間移動人流量情報を加味した数理モデルの構築を目指しており、大阪府における地域間移動人流量情報を用いてRSウイルス(RSV)感染症発生情報への適合を実施している。 感染症流行の早期探知・予測:RSV感染症について、大阪府内の地域別に2017~2021年のRSV感染症発生情報を用いて実効再生産数を推定した。2017~2019年の実効再生産数が1を超えた時期は地域別に明確な差は認められなかったが、2021年においては地域差が認められた。コロナ禍における大阪府内の人流量減少により感染症拡散速度が減弱した等の可能性が考えられる。また、人口規模上位10都道府県における2012~2019年のRSV感染症発生情報を用いて、実効再生産数の情報を基に、流行開始の基準となる報告者数を推定した。加えて、コロナ禍における大阪府のRSV感染症の流行規模を予測した。2020年は流行が認められず、2021年は過去最大規模の流行が認められたが、本研究では2023年の大阪府のRSV感染症の流行規模はコロナ禍前程度と予測された。 感染拡大に影響する要因分析:新型コロナウイルス感染症の2次感染者数の分布を祖先株とアルファ株それぞれの流行時期において推定し、時間的変動を確認した。2次感染者数の分布は感染症対策の方針設計に重要な指標であり、そのモニタリングは重要となる。祖先株流行期には、2次感染者数の分布の分散は大きく、(集団感染を起こす)ハイリスク群への対策が有効と考えられていたが、アルファ株の流行時期においては、2次感染者数の分散が小さく、ハイリスク群に焦点を当てた対策の効果が減弱していたことを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、呼吸器感染症の時空間的感染拡大機構を解明すること、地域間移動人流量の変化等が感染拡大に影響する要因を分析すること、及び流行を早期に探知し予測することを目的としている。それぞれの目的について以下の研究を行った。RSウイルス感染症の実効再生産数をモニターすることで、流行の早期探知を行い、報告数を用いた流行判定基準を作成した。加えて、コロナ禍における大阪府のRSV感染症の流行規模を予測した。また、新型コロナウイルス感染症の2次感染者数の分布の推定を行った。地域間移動人流量情報を加味した数理モデルは現在構築中であり、一時点の地域間移動人流量情報を用いて地域別報告者数の適合を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施計画である、地域間移動人流量情報を加味した数理モデルの構築・定式化を行い、呼吸器感染症の時空間的感染拡大機構について分析する。モデルを最尤推定法により地域別報告者数に適合させ、各都道府県の伝播パラメータを推定する。地域別報告者数が適合可能であれば、時間別の地域間移動情報を入手し流行時期別に伝播パラメータを推定する。複数のシナリオを設定し、地域間移動人流量の変化や介入による感染伝播率の変化等が感染拡大に及ぼす影響を定量的に評価する。 RSV感染症のモデルを基に、他の呼吸器感染症についてもモデルを作成・分析を検討する。
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