研究課題/領域番号 |
22K17411
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
磯崎 翔太郎 東海大学, 医学部, 助教 (60834504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 熱傷 / βカテニン / 受傷機序推定 / 凍傷 / 物理化学的皮膚障害 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚病変の法医学的な鑑別は肉眼的・病理組織学的な形態観察により行われているが、客 観性・正確性の点から新たな評価手法の開発が望まれている。申請者は分子生物学的なシグ ナル伝達に着目し、凍傷皮膚組織において特異的にWnt/βカテニン経路が活性化し、βカテ ニンの核内移行が凍傷の法医学的診断マーカーとなりうることを明らかにしてきた。 本研究ではさらに他の物理化学的皮膚障害において特異的に活性化するシグナル伝達経路を明らかにし、法医学的診断に有用なマーカーの候補分子を同定する。実際のヒト剖検例においてその特異性を検証し、分子生物学的マーカーに基づく新たな皮膚病変の法医学的評価方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は引き続き、安定した熱傷モデルマウスの作成を試みた。6週齢のBALB/c雄マウスの背面皮膚を剃毛・除毛した。フェライト磁石(外径10mm×厚み3mm)2枚をウォーターバス内で設定温度(60℃、65℃、70℃)で30分加温し、剃毛・除毛24時間後にイソフルラン麻酔下で背部皮膚を加温したフェライト磁石で20秒間挟み込む事により熱傷を惹起した。熱傷処置24時間後に頸椎脱臼により安楽死させ、背面皮膚を採材し、中性緩衝ホルマリンで24時間皮膚組織を固定後に切り出しを行い、ヘマトキシリン-エオジン染色及びβカテニンの免疫染色を実施した。結果、肉眼的には65℃及び70℃の暴露で発赤及び浮腫を認めたが、60℃の暴露では明らかな変化は指摘できなかった。ヘマトキシリン-エオジン染色も同様に65℃及び75℃の群では真皮の浮腫性肥厚が観察されたが、60℃の暴露では陰性対照と同様の形態を呈していた。一方でβカテニンの免疫染色では60℃、65℃、70℃のいずれも角化細胞において核内移行が認められた。本研究結果からβカテニンの核内移行は肉眼的及びヘマトキシリンエオジン染色で変化を示さない条件でも認められ、温熱障害の鋭敏なマーカーとなる可能性が示唆された。今後熱傷におけるβカテニン核内移行の機序及び機能解析を行う予定である。また、経時的変化を追っていくことで、物理・化学的皮膚障害の法医学的診断マーカーとしてのβカテニン核内移行の有用性を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討から安定的な熱傷モデルマウスを確立することができ、今後の分子生物学的解析への見通しをつけることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究実施計画に沿って研究を遂行していく予定である。
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