研究課題/領域番号 |
22K17419
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木田 亮平 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40842464)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 看護管理学 / 認定看護管理者 / 患者アウトカム / 看護の質指標 / リアルワールドデータ |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では看護管理者の資質向上のため、大学院教育や認定看護管理者教育が行われ、専門的教育を受けた看護管理者の養成が進められている。しかし看護サービス管理の専門家である専門的教育を受けた看護管理者の配置と患者アウトカムとの関連は検証されていない。 本研究では、専門的教育を受けた看護管理者の配置と患者アウトカムとの関連についてリアルワールドデータを用いて明らかにする。本研究により、患者アウトカムに貢献する専門的教育を受けた看護管理者の配置の重要性を示すことができるとともに、どのような教育が看護管理者の実践を変え、その配置が患者アウトカムの向上に貢献したのかを解明する手掛かりが得られる。
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研究実績の概要 |
前年度は公開されているデータから、専門的教育を受けた看護管理者の中でも「認定看護管理者」の全国の所属分布および所属と関連する地域・施設特性を明らかにした。本年度は、認定看護管理者以外の看護管理者の専門的教育学修状況およびそれらと病棟レベルの患者アウトカム指標との関連を明らかにするべく、調査票による調査を実施した。 全国の病院から487病院を無作為抽出し、看護部門責任者宛に調査に関する説明文書等を郵送した。調査票では、看護管理者の基本属性、施設特性、入院実績(病床数、算定する入院基本料・特定入院料、在棟患者の状況等)、看護の質指標に関する項目(有害事象の発生件数及び該当患者数等)、看護職員に関する項目(クリニカルラダーレベルごとの在籍状況、専門・認定看護師の在籍状況、離職者数等)等を尋ねた。 調査案内を配布した487病院のうち、22病院から研究協力の意思表示があり、最終的に5病院から調査票の提出があった。看護部門責任者用調査票は5件、病棟指標調査票は4病院60病棟、部署の看護管理者用調査票は53件の回答が得られた。 回答の得られた部署を、専門的教育を受けた看護管理者が所属する部署(教育あり部署)とそうでない部署(教育なし部署)とに二分し、看護の質指標を比較したところ、統計学的有意差はなかったものの、「教育あり部署」で、在院日数がやや短く、新規褥瘡発生件数が少なく、インシデント・アクシデントレポート報告件数および転倒転落発生件数が少なかった。部署の看護管理者が専門的教育を受けることで、部署の看護の質に良い影響を与える可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査票による調査は計画通り実施することができた。また、オープンデータを用いた分析にも着手しており、計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
調査票による調査によって、専門的教育を受けた看護管理者と病棟のアウトカムの概要を把握することができたが、調査実施中、参加者よりデータ収集方法に関する問い合わせがいくつかあった。具体的には、必要データ群が多く診療録等からデータを把握することが困難であること、診療録のどこに該当データが格納されているか不明であること等であった。調査票は「病床機能報告(厚生労働省)」、「DiNQL(日本看護協会)」の報告データに則って依頼したものであったが、本プロジェクトで作成した調査票で当該データを把握することは困難であったと考えた。 そこで今後は、病床機能報告データや各省庁等が公開しているオープンデータを使用して研究を行うこととする。具体的には、専門的教育を受けた看護管理者の中でも、オープンデータで把握可能な「認定看護管理者」、および患者アウトカムについては病床機能報告データから把握可能な病棟レベルの変数を扱うこととする。すでに分析に着手しており、第一報を第28回日本看護管理学会で報告予定である。
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