研究課題/領域番号 |
22K17422
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
菅 彩香 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (00898017)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 高齢者 / 転倒 / 皮膚感覚 / 被験者内再現性 / 感覚評価 / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病神経障害や高齢者の転倒による身体損傷のリスクを早期発見し、予防につなげることは重要である。糖尿病神経障害や高齢者の転倒リスクに皮膚感覚が関連することが報告されているが、皮膚感覚評価は専門家による測定・評価が必要であり、評価の機会が限られる。そこで、本研究では、コンピュータ制御で検査刺激を与える機器を用いた手掌での感覚評価の有用性を検証し、簡易スクリーニング指標として臨床での活用を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は(1)「感覚評価装置」を用いて、手掌感覚と足底感覚の計測を行うことで、高齢者の感覚閾値の分布のエビデンスを得ること、および、(2)転倒歴・重心動揺検査の調査を行い、感覚閾値と高齢者の転倒・バランスとの関連について示唆を得ることを目的として、地域在住の比較的健康な高齢者121名を対象に調査を行った。 (1)の目的に関しては、60代18名、70代76名、80代26名、90代1名のデータを取得している。年代による対象者数にばらつきがあるが、今後、調査対象者を増やすことも検討し、年代毎の分布の傾向を検討する。感覚閾値の傾向について、健常成人で実施した予備調査で計測された値と比較して、高齢者では手掌感覚、足底感覚共に、感覚閾値が大きくなっており、加齢と共に感覚が鈍くなる可能性が示された。これは、先行研究と同様の傾向を示していた。さらに、高齢者では、より感覚閾値の値のばらつきが大きくなることや、手掌感覚と足底感覚の感覚閾値の相関係数が小さくなることが示唆された。高齢者における、この皮膚感覚閾値のばらつきには、高齢者では加齢変化や既往歴が複雑に影響している可能性が考えられるが、詳細な背景要因については今後の検討課題となっている。 (2)の目的に関しては、今回の調査では地域在住の比較的健康な方を対象としたため、転倒歴を有する者が少なく、感覚閾値と転倒歴の間には明確な関連は認めなかった。一方、感覚閾値が大きく、感覚が鈍い高齢者ほどよりバランス機能が低下している傾向を認めた。このことより、今回の調査で対象とした、地域在住の比較的健康で、転倒歴がない高齢者であっても、感覚を適切に評価することで、転倒のリスク状態を評価できる可能性があると考えられた。この、転倒リスク状態のスクリーニング手法としての、「感覚評価装置」を用いた感覚計測の有用性の検証については、今後の検討課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は121名の高齢者を対象に調査を実施したが、調査協力者・計測機器の台数の制限などから、1回の計測会で計測を行える人数に限りがあり、調査の実施に期間を要したため、予定より計画の進行に遅れが生じた。初期のデータ入力・データクリーニングまで完了した。調査データのセータセットの作成までは実施したが、研究目的に対するデータ解析までは十分到達できていない。 また、本年度は調査実施に期間を要したため、研究成果の公表が行えていないが、次年度には国際学会にて報告予定であり、抄録は受理されている。
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今後の研究の推進方策 |
「感覚評価装置」で計測される感覚閾値の分布を検討するため、調査対象者数を増やすことも視野に入れて、感覚閾値の分布の検討を進める。また、本年度に、今後の検討課題として残った、高齢者の感覚閾値のばらつきの背景要因の検討や、転倒リスク状態のスクリーニング手法としての、「感覚評価装置」を用いた感覚計測の有用性の検証を進める。
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