研究課題/領域番号 |
22K17552
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
多田 葉子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70458107)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 舌苔除去 / 微小出血 / 潜血反応 / 舌苔 / 口腔ケア / 舌粘膜 / 出血 |
研究開始時の研究の概要 |
舌苔は糸状乳頭に食物残渣や微生物が付着してできる。胃粘膜の炎症性病変があると糸状乳頭が長くなり、舌苔は厚くみえる。胃粘膜の萎縮性変化があると、糸状乳頭は短くなり、舌苔は薄くみえる。糸状乳頭が長いため舌苔が厚くみえるのか、食物残渣等の汚れが付着して舌苔が厚くみえるのかは、視診では判別が困難である。 口腔衛生状態不良の評価として、視診の舌苔付着度が使われており、糸状乳頭を含めて「舌苔=汚れ」としている。口腔衛生状態不良とされたものは舌苔の除去を入念に行い、舌背粘膜を擦過することが懸念され、臨床的に問題である。そこで本研究では、高齢者の舌苔除去を安全に行うための標準的ケア指針を確立する。
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研究実績の概要 |
要介護高齢者の口腔ケアを行う場合、歯だけでなく口腔粘膜もケアする。舌粘膜は歯や皮膚に比べて機械的刺激に弱く、容易に傷つき出血すると考えられる。しかし、微小出血を指標とした舌清掃方法の評価は行われていない。そこで本研究では、舌苔除去を行う際の舌粘膜の微小出血を評価する方法について検討した。要介護高齢者で調査するにあたり、その予備研究として健康成人で舌粘膜の清掃方法を検討した。 微小出血の判定には、尿検査用試験紙ウロペーパーⅢ(栄研)を用いた。90分の絶飲食を行ったのち、舌粘膜を歯ブラシおよび舌ブラシで擦過し、スポンジブラシで採取後、水で懸濁したものを測定試料とした。検査紙に測定試料をつけ、色調の変化で微小出血を判定した。擦過圧は100gとし、歯ブラシで3回擦過群、10回擦過群および舌ブラシで10回擦過群、30回擦過群の4群で検討を行った。 対象者は43歳~53歳、女性5名であった(平均年齢49.6±4.2歳)。歯ブラシで3回擦過群では、11症例中2症例(18.2%)に微小出血がみられた。歯ブラシで10回擦過群では、7症例中全例で微小出血がみられた。一方、舌ブラシで10回擦過群のおよび30回擦過群では、全例で微小出血がみられなかった。以上のように、歯ブラシでの擦過で微小出血がみられ、舌ブラシでの擦過で微小出血がみられなかった。今回健康成人を対象に調査したにもかかわらず、歯ブラシでの擦過で出血がみられたため、健康成人より口腔粘膜が脆弱な要介護高齢者に対して舌粘膜ケアを行うときに、歯ブラシの使用は好ましくないことが示唆された。舌ブラシで擦過すると微小出血がみられなかったことから、要介護高齢者に対しても使用できる可能性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は、ヘモグロビン検出用キットペリオスクリーン「サンスター」を用いて舌粘膜ケア時の微小出血の評価方法について検討を行った。ペリオスクリーンは唾液中のヘモグロビンを検出する試薬であり、舌粘膜擦過による微小出血の評価に用いていたが、製造元の事情により2023年3月で販売終了することが決定した。そのため、微小出血を評価する代替品の検討を新たに行う必要があった。検討の結果、代替品として尿検査用試験紙ウロペーパーが使用できることが分かったが、本来は尿中の潜血反応測定に使用するものであるため、舌上の測定試料の採取方法および測定方法についても改めて検討する必要があった。これにより、健康高齢者に対して行う予定であった、歯ブラシ・舌ブラシ・スポンジブラシ等の舌粘膜清掃器具を用いた舌粘膜の擦過圧、擦過回数の検討を行う段階に到達できず、進捗状況をやや遅れているとした。 健康成人に対して舌粘膜清掃を行い、尿検査用試験紙ウロペーパーを用いて微小出血を評価したところ、歯ブラシでの擦過で微小出血がみられ、舌ブラシでの擦過で微小出血がみられないことが分かった。健康成人を対象に調査したにもかかわらず、歯ブラシでの擦過で微小出血がみられたため、健康成人より口腔粘膜が脆弱な要介護高齢者に対して舌粘膜ケアを行うときに、歯ブラシの使用は好ましくないことが示唆された。舌ブラシで擦過すると微小出血がみられなかったことから、要介護高齢者に対しても使用できる可能性があった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、尿検査用試験紙ウロペーパーⅢ(栄研)が舌清掃後の微小出血を評価する代替品として利用可能であることが分かった。また、測定試料の採取方法および評価方法に関する新たな見通しが立った。 今後の研究では、要介護高齢者に対して舌粘膜清掃を行う際、具体的な舌清掃器具や使用方法について、様々な観点から検証を行っていく予定である。歯ブラシ・舌ブラシ・スポンジブラシ等の舌粘膜清掃器具を用いて、擦過圧および擦過回数を変えて微小出血の評価を行い、微小出血を生じない限度について検討を行う。この研究により、要介護高齢者の口腔ケアにおいて、より効果的で安全な舌粘膜ケアを提供することができ、標準的なケア指針の確立に向けた重要な結果を得られると考える。
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