研究課題/領域番号 |
22K17593
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桑原 渉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (70932226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | リハビリテーション / ロボティクス / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は,表面筋電図信号に基づき,対象者が手指を伸展もしくは屈曲のどちらを意図しているかの判定を機械学習プログラムで行うアルゴリズムを開発した。本研究は,出願済み特許3本を有する手指運動アシストデバイスに搭載する,運動方向判定を行う機械学習に基づく表面筋電図制御プログラムの精度向上を図るための検証を行い,有効な治療法が確立されていない脳卒中の重度な手指運動麻痺を代替するためのデバイス開発を推進する。本研究の目的は,健常者および脳卒中後運動麻痺者において,手指運動アシストデバイスを装着した状態での表面筋電図制御プログラムの運動方向判定精度を検証することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,手指運動アシストデバイスを装着した状態での表面筋電図制御プログラムの運動方向判定精度を検証し,その精度を向上させるアルゴリズムを構築することである。 補助事業期間内において,健常者,脳卒中運動麻痺者それぞれ10名ずつを対象にし,精度検証をすることを想定し,倫理申請を行い,承認を得た。健常者5名においてデバイス装着下で精度検証を行ったところ,感度,陽性的中率それぞれで全例95%以上の高い精度を確認できた。健常者での検証は済とした。 脳卒中運動麻痺者7名を対象にした精度検証を開始した。方法は,以下の通りである。 ①デバイス非装着下において,運動機能検査であるBox & Block test(BBT)を実施,②7筋に筋電図センサを貼付し,各患者に応じて判定しやすい2筋の組み合わせを決定するための筋電検査を実施,③②で決定した2筋を用いて学習課題を実施,④学習データをマイクロコンピュータに伝送,⑤デバイス装着下で運動機能検査であるBBTを実施 ③で取得したデータを交差検証の方法を用いて感度,陽性適中率を算出した。さらに,①と⑤のBBTの結果を比較した。その結果,伸展判定の感度:88%,陽性的中率:70%,屈曲判定の感度:85%,陽性的中率:68%,BBTは非装着0.6個vs装着1.6個であり,精度は改善の余地があるものの,運動機能拡張をもたらすことが出来る可能性が示された。 精度改善を図るために,デバイス側の伸展・屈曲位置の検出を行うことを目的に,フォトセンサによるラック位置センシング機能をデバイス側に実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定していた対象症例数の半分を上回る患者数への実験,臨床研究を既に終了している。 さらに精度向上を図るための方法について考案し,それを解決するために,フォトセンサによるラック位置センシング機能をデバイス側に既に実装し,次年度に実施する内容について検討済である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針は以下の2点である。 ①現行のプログラムにおいて精度を向上させる方法を検討する。 具体的には,学習課題の回数を増加させる,学習課題を実施する肢位をアウトカム特異的に決める,ということを行うことで精度向上が図ることができると推察している。 ②現行プログラムを改修し,表面筋電図信号だけでなく,ラック位置(手指の肢位)の情報をプログラムに組み込むことで,精度向上を図ることができるか検証する。 具体的には,例えば,手指の肢位が伸展位にある場合には屈曲判定をしやすいようなアルゴリズムをプログラムに組み込むことを想定している。
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