研究課題/領域番号 |
22K17638
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
佐藤 亜紀子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (50805330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナゾメーター / 発話課題 / 基準範囲 / 幼児 / 鼻咽腔閉鎖機能 / スピーチ / 言語 / 開鼻声 / 口蓋裂 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、鼻咽腔閉鎖機能不全を非侵襲的で客観的に評価できる小児用の重症度別の4段階指標を作成することを目的とする。口蓋裂術後の低年齢児の鼻咽腔閉鎖機能評価は、主として言語聴覚士による音声言語評価を行っている。音声言語評価は非侵襲的で小児にも容易に実施できる反面、専門的な臨床経験を要するため判定が難しい。鼻咽腔閉鎖機能を評価する方法のひとつとしてナゾメーターによる鼻音化率測定が挙げられるが、本邦では重症度に合った鼻音化率(Nasalance score)の指標はない。本研究では、音声言語評価を補完できる、重症度別の指標の作成により、小児の検査への負担が少ない評価システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナゾメーターという機器を用いて、鼻咽腔閉鎖機能(発話時に声が鼻に漏れないようにする機能)を非侵襲的、客観的に評価するための小児用の検査課題を作成し、重症度別の4段階の鼻音化率の指標を作成することである。 2022年度は主に、幼児用の発話課題案を行った。発話課題の長さについては、できるだけ日常会話に近い状態での発話サンプルで測定した方が、聴覚判定との相関が高く、信頼性の高い測定値が算出できるため、単音節だけでなく、6音節程度の無意味音節から、単語、2,3語文を使用することとした。課題に含まれる子音は、①小児の構音発達を考慮して構音獲得の時期が遅いサ行音、ザ行音、ラ行音、ツの音を含まないこと、②早期に獲得される破裂音で産生すること、③構音障害の影響を受けにくい音、の観点で選定した。 2023年度は、2022年度に作成した課題を用いて、鼻咽腔閉鎖機能不全の疑いのない4歳~6歳代の幼児にナゾメーターおよび構音検査を実施し、nasalance score(以下N-score)の基準範囲を求めた。N-scoreの基準範囲は、課題ごとに2.5~97.5パーセンタイルとしたところ、母音や半母音で構成された低圧課題は5~22%、無声破裂音で構成された高圧課題は5~16%となった。小児の構音獲得を考慮した課題でナゾメーター検査を実施することで、小児のN-scoreの基準範囲の設定が可能であることが示唆された。 2023年度後半から、口蓋裂術後や粘膜下口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症など、鼻咽腔閉鎖機能不全が疑われる疾患や症状を持つ幼児のデータを収集中である。 研究成果は、第68回 日本音声言語医学会(倉敷)で口頭発表をした。今後論文投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナゾメーターが購入できたことで、2023年度前半で健常幼児のデータを収集することができたため、2023年度後半から口蓋裂や粘膜下口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症など、鼻咽腔閉鎖機能不全が生じる可能性がある合併症のある幼児のデータ収集を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度後半から収集しているデータを、2024年度前半には収集完了させる予定である。年齢的に該当する幼児は一定数いるが、発達の遅れがあり検査に応じられない児も少なくない。引き続き積極的に協力依頼をしていく必要があると考える。
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