研究課題/領域番号 |
22K17656
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
XU LUSI 東北医科薬科大学, 医学部, 研究補助者(臨時職員) (20897847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | リハビリテーション / 循環器・高血圧 / 腎臓 / フルクトース |
研究開始時の研究の概要 |
運動療法の臓器保護効果の機序を解明するため、心・腎障害がより増強している高フルクトース摂取下のDahl食塩感受性ラットを用いて、長期的運動による心・腎保護効果とその機序と推定される組織のRA系、脂質代謝、酸化ストレスへの影響を検討する。 さらに、薬物療法の効果と比較検討することで、運動療法の多面的効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
フルクトース過剰摂取はメタボリック症候群や血管・心臓・腎臓等で多臓器障害を惹起するが、その病態生理の詳細やフルクトース自体が腎障害や脂肪性肝障害の重要な危険因子となることが近年明らかになってきた。食塩感受性高血圧は非感受性高血圧にくらべて慢性心不全や慢性腎臓病を惹起し易いことが知られている。正常食塩摂取下であっても、Dahl食塩感受性(Dahl salt-sensitive; DS)ラットが高フルクトース食餌(HFr)摂取によって心・腎障害が増強する新たなモデルとなることをすでに報告しているが、長期的運動の効果についてはまだ不明である。そこで、HFr摂取下のDSラットにおける長期的運動の効果を検討した。 HFr摂取により収縮期血圧、アルブミン尿、クレアチニンクリアランスが増加し、長期的運動はそれらの増加を抑制した。HFr摂取により糸球体硬化、糸球体上皮障害、腎間質線維化が惹起され、長期的運動はそれらを抑制した。HFr摂取によりアンジオテンシノーゲン、レニン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)、アンジオテンシンII 1型(AT1)受容体の腎内発現が増加し、長期的運動はACEの発現のみを回復させた。また、HFrによりACE2、アンジオテンシンII 2型(AT2)受容体、Mas受容体の腎内発現が減少し、長期的運動はACE2とMas受容体の発現を回復したが、AT2-Rの発現をさらに低下した。 これらの結果から、HFr摂取下のDSラットにおいて長期的運動は強力な降圧・腎保護効果を示し、その効果には腎内レニン―アンジオテンシン系の改善の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である長期的運動の臓器障害への有効性とその機序の解明に関して、高フルクトース摂取下のDahl食塩感受性ラットにおいて長期的運動が強力な降圧・腎保護効果を示すこと、また、長期的運動の降圧・腎保護効果の機序に、腎内レニン―アンジオテンシン系の改善が関与することを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施した高フルクトース摂取下のDahl食塩感受性ラットにおける長期的運動の臓器保護効果の機序の詳細を解明すると共に、令和5年度は、高フルクトース摂取下のDahl食塩感受性ラットにおいて、運動と同様にメタボリック症候群に有効なフィブラート系高脂血症薬の効果を比較検討し、長期的運動の多面的効果を明らかにしていく予定である。
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