研究課題/領域番号 |
22K17658
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
野崎 智仁 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (50757002)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 精神障害 / 作業療法士 / 就労支援 / 就労定着支援 |
研究開始時の研究の概要 |
作業療法士が報酬の加算対象となり、医療的観点に基づく支援が可能となったが、「どのような支援により就職に繋がったのかといったプロセス評価ができていない」ことが問題提起されている。 本研究は、就職及び就労定着に有効と示され加算対象となった作業療法士に焦点を当て、作業療法士の専門性に着目し分析する。精神障害者の就職や就労定着に影響を与える要因を調査して対策を講じるというプロセスではなく、成果を挙げている作業療法士の介入はどのようなものか、作業療法士の専門性を活用して就労支援の質を高めること、さらに医療・福祉連携における作業療法士の有効性に焦点を絞っていることが、本研究の学術的独自性と創造性である。
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研究実績の概要 |
本研究は、厚生労働省の障害福祉サービス検討チームにより、就労支援において有効性が認められた作業療法士に着目し、作業療法士が養成されるカリキュラム背景などをもとに、日本作業療法士協会主催の情報交換会において好事例を報告した作業療法士にインタビュー調査を行うものである。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、インタビュー調査の実施に影響が及んだため進捗は遅れているが、2023年度は株式会社ハートスイッチ倉敷校、特定非営利活動法人日本学び協会の2施設に対して調査を実施した。他調査施設に対しても、研究対象者及びその所属施設と連絡調整をして、現実的に実施可能な時期について検討をした。2024年度内に可能な限り実施予定である。倫理審査については、国際医療福祉大学倫理審査委員会より承認を受けている。(承認番号22-Io-30)カリキュラム背景を整理のために、日本作業療法士協会の元会長、元副会長、元教育部長らと連絡を取り、検討するにおいて重要となる資料を譲り受けた。本資料をもとにして、作業療法士の養成教育をはじめ、人材育成をどのように考えるかといった内容で、日本職業リハビリテーション学会第50回大会においてシンポジウム「高等教育機関におけるジョブコーチの人材養成~ニーズと可能性を探る~」に登壇をした。本シンポジウムでは、作業療法士をはじめ、就労支援に関連する専門職種の養成と並行して職場適応援助者養成が現実的に可能であるのか、また将来的には国家資格化に向けてどのような課題があるのか検討をした。前年度の研究成果であった到達目標としての治療的目的としての就労という位置付けに加え、昨今の作業療法士養成にどのような社会的要望があるのかが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の進捗としては、当初の予定より遅れている状況にある。原因としては2点あり、その一つ目は、研究開始となった2022年度から昨年度にかけて、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本研究の調査時期が遅れてしまったことと、その調整を研究対象者と行うことに時間がかかってしまったことにある。インタビュー調査を主とした研究内容であり、研究対象者のもとに行くこと自体が研究対象者の業務に影響を与えることが考えられ、研究実施の延期が続いてしまった。元々予定していた研究対象者の所属先においても、感染症対策が強化された施設が多く、調査のための訪問ができなかった事情がある。二つ目には、上記事情に合わせて、研究対象施設、研究対象者の変更を余儀なくされたため、倫理審査を受けるべく申請時期が遅くなり、研究に着手する時期も合わせて遅くなってしまったことがある。大よその実施時期の目処が立ったため倫理審査の手続きを行なった。本研究の倫理審査については、国際医療福祉大学倫理審査委員会に申請をし、2023年3月10日に承認の判定を受けた。(承認番号22-Io-30)2024年度となり、感染状況が変わってきたことから調査が可能な研究対象施設から進められるものと思われる。また、新型コロナウイルスの特例措置である研究期間延長の申請も行った。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大によって本研究の進捗に影響が生じたものの、2022年度内に倫理審査も含めて研究実施の事前準備を整えることができた。本研究への協力を求めるために、先んじて研究内容を説明する中では、研究対象者が所属する施設が、精神科医療機関を所有する場合もあったため、その場合には社会的入院を余儀なくされている患者が入院をしており、院内への感染拡大に対してかなりセンシティブな状態であったのは確かである。研究実施場所などを検討することはおおよそ終了したが、調査時期の感染状況と合わせて、再度の確認や調整を図りながら調査を進めていく。また、2024年度からは月1回の頻度を目安として、インタビュー調査を中心に実施していく予定である。本研究の実施には、他研究の実施や教育業務、臨床業務により、本研究の進捗が滞ってしまうことが課題として考えられる。そのため、進捗管理を心がける目的として、国際医療福祉大学大学院生指導の中で、研究手法や手続きについて教育する一環として、本研究の進捗状況を定期的に報告する。なお、報告にあたっては、研究対象者の個人情報の取り扱いには十分に注意を払うとともに、調査時に同意書をもとに報告への了承が得られた場合のみ行うものとする。一方で、このペースで進めた場合、元々予定していた18ヶ所への調査及び研究成果の報告(日本作業療法学会などでの企画セミナーの開催)には間に合わない可能性が高い。2022~2023年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きかったが、2024年度までで本研究が完了できるように進める。
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