研究実績の概要 |
COPDとILDは呼吸困難をきたす疾患の代表であるが,両疾患の病態は大きく異なる.したがって本研究では,運動時呼吸困難の主な原因と考えられている動的肺過膨張とも関連が強いことを報告した。 本年度において,COPD患者のDEmaxに対する吸気筋トレーニング(IMT)の効果を検証した。 【方法】非盲検ランダム化比較試験で,対象は安定期COPD患者34名である.一定期間の運動プログラム施行後,IMT群,非IMT群の2群に無作為に割付けし,在宅で自主トレーニングに加えてIMT/非IMTを12週実施した.主要評価項目をIMT介入後のDEの変化,副次評価項目を運動耐容能(Peak VO2)の変化として解析した. 【結果】解析対象は27名(年齢;75.8±4.0歳),IMT群は14名(FEV1;1.56±0.49ml),非IMT群は13名(FEV1;1.49±0.51ml).運動プログラム後のΔDE,ΔPeak VO2には両群で有意差はなかった.IMT施行前後でΔDE(IMT群;10.7±5.1mm,非IMT群;-0.45±1.0mm,p<0.01),ΔPeak VO2(IMT群;1.31±0.9 ml/min/kg,非IMT群;0.20±1.5 ml/min/kg,p<0.01)と有意にIMT群で改善した. 【結論】IMTはDE,運動耐容能の改善に寄与する可能性があることが分かった.
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