研究課題/領域番号 |
22K17672
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田邊 元 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40758588)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 沖縄空手 / 獅子舞 / 武術 / 芸能武術 / 文化資源 / 武術的身体表現 / 武術の民族誌 / スポーツ人類学 / 百足獅子 / 地域コミュニティ / 武術的多元性 / エージェンシー論 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の武術に関する人文社会科学的研究の多くは、歴史学的手法から近代化を論じるものが多く、武道以外の武術についてほとんど興味を示してこなかった。本研究の目的は、今日の日本における武術の実態を民族誌的に明らかにしていくことである。具体的には、民俗芸能として行われる武術を対象に、①どのようなアクターが関わるか、②どのように運営されているのかを把握したうえで、③関わるアクターがどのようにしてその実践を生み出しているのかについて、アクター間の相互関係に着目し、その動的な関係性から検討していく。その上で、歴史学的手法からのみ示されてきた武術研究に対して批判的に捉える視座を示す。
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研究実績の概要 |
1. 実施した研究の概要 当該年度においては、昨年度に引き続き(1)沖縄空手の現地調査(2024年2月)、(2)富山県下の獅子舞の現地調査(2023年4~5月、9~10月)をそれぞれ実施した。(1)では、沖縄空手の県内での実施状況として、那覇市、八重瀬町、うるま市、浦添市にそれぞれある、6つの沖縄空手道場の道場主を中心に聞取りを実施した。(2)では富山県下にて実践される獅子舞関係者や獅子舞の周辺文化を支える人びとへの聞取りや観察を行った。
2. 研究の成果 (1)について、今回の聞取りからは、沖縄空手と地域社会とのつながりについて浮き彫りすることが出来た。現在、日本の流派武術の多くは地域社会とのつながりがそこまで大きくはなく、多くの場合は演武会等を地域社会の寺社等で実施するなどに限定される。しかし今回聞取りを行った各道場は、例えば道場生を地域社会の祭礼に参加させるといった関わりではなく、道場自体が祭りにおける一要素として機能している場合もみられた。また、武術に関心を持って入門したのではなく、地域社会への貢献を考え入門したという道場生の声も聞かれた。こういったあり方は、本土側の古武道伝承のあり方と比較していくことで、より鮮明に浮き彫り出来るのではないかと考えている。 (2)では、富山県下の獅子舞を対象に、その形式について特に注目する視点を得た。百足獅子と天狗が戦う形式を持つ富山県下の獅子舞は、獅子と天狗という架空の存在に「変身」し戦う。こういった形式は保育研究でいわれる「戦いごっこ」に類似しており、そこでは子どもに限らず大人も熱中し、一日かけて「疲労」を伴いながら行われるのである。では、こういった「戦いごっこ」の形式は、人びとにとってどういった存在であるか。あくまでも「ごっこ遊び」である点などに注目し、今後も検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は沖縄空手について本格的な聞取りが出来たため進展はみられたものの、アクセスの難しさや、本課題以外の研究における調査との兼ね合いもあり、調査頻度を増やすことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように遅れは生じているものの調査の進展はしており、また前年度の課題であった調査対象の選定も終わったため、今後は本課題を中心に取り組んでいく。
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