研究課題/領域番号 |
22K17686
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
福原 真一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (70745497)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 筋音図 / 筋電図 / 変位筋音図 / 筋スティフネス / ペダリング / 筋粘弾性 |
研究開始時の研究の概要 |
筋の硬さ(筋スティフネス)は筋コンディショニングを反映する指標の一つであり、スポーツ科学で評価・応用が試みられている。 本研究では、筋の剛柔によって筋の伸縮の程度が変化するという仮説のもと、新規開発されたMMG/EMGハイブリッドセンサで計測される変位筋音図を用いて受動的な関節運動時の筋の形態変化を評価することによる筋スティフネスの推定を目的とし、ユニバーサリティを有した新しい評価指標の開発を目指す。本研究によって、筋スティフネス評価がスポーツ分野で導入される契機となり、スポーツ科学の発展や国民の健康増進に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
粘弾性体は熱や変形速度の影響を受けその性質が変化する。筋もまた、粘性体と弾性体の両方の性質を持つ粘弾性体である。変位筋音図(displacement Mechanomyography: dMMG)は、皮膚へ貼り付けたセンサと皮膚間の距離の変化を測定することで、筋の形態変化を捉えることができる。受動的関節運動時のdMMGを計測することによって、筋粘弾性の評価を可能にするのではないかという仮説のもと実験を実施した。 右の大腿直筋(RF)、内測広筋(VM)、外測広筋(VL)から筋電図(Electromyography: EMG)とdMMG を、膝関節角度をゴニオメーターで測定した。受動的関節運動の実現のために自動ペダリング装置を用いた。回転数は10、30、50rpmとした。 測定開始5秒後に、被験者の太腿を物理的に刺激し、EMG/dMMGとゴニオメーターの同期をとった後、10秒後から受動的ペダリング運動を開始し、50秒間ペダリングを行った。測定中、リアルタイムで表示されるEMG波形から随意収縮が発揮されていないこと確認した。各信号のサンプリング周波数は1kHzとした。dMMGの安定した3波形を抽出し、それぞれの波高値、ゴニオメーターとの位相差、立ち上がり時間および立ち下がり時間を算出し、平均化した。 実験の結果、波高値、立ち上がり時間および立ち下がり時間と回転数の間には差が見られなかった。 その一方で、RF、VM、VLにおいてdMMGとゴニオメーター間の位相差が認められ、回転数が増加するにともない次第に大きくなった。 本年度における実験の結果、dMMG自体には筋の粘弾性変化に対する特徴的な事象は認められなかったが、ペダリング中の膝回転角度とdMMGとの位相差を調査することで筋の粘弾性特性の評価が実施できる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している被験者数の実験参加者を確保することができ、順調に実験を遂行することができた。また、本研究の成果を国際会議(the 45th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society)で発表した。これらの理由から、本研究課題は順調に進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は大腿四頭筋を対象にした静的ストレッチ前後の筋粘弾性評価を実施する予定である。静的ストレッチは柔軟性を向上させ、筋肉の緊張を緩和し、身体の可動域を改善するのに役立つ。筋肉や結合組織が徐々に伸ばされ、伸展が促進され、組織が一時的にその伸展を保持しようとする。つまり、静的ストレッチの前後では筋粘弾性の働きによって、その性質を変化させていると考えられる。そこで、本年度は理学療法士監修の元、実験参加者の右下肢に静的ストレッチを施し、昨年度と同様の実験方法で筋粘弾性の変化を評価できるか検討する。ストレッチを実施していない左下肢はコントロールとし、両者の変位筋音図と膝関節角度との位相差を統計学的手法を用いて比較する予定である。 また、本研究の粘弾性推定手法を一般化するためにスマートフォンやタブレットを用いて、簡便に評価することができるアプリケーションの開発にも取り組んでいく予定である。 現在、医工学系の国際ジャーナルへの投稿準備中であり、本年度中のアクセプトを目指している。合わせて、国内学会の全国大会(第63回日本生体医工学会大会)への発表も準備中である。
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