研究課題/領域番号 |
22K17689
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
小林 育斗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90779026)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 投動作 / 小学生 / 動力学 / メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
小学生の投動作に関する研究では,観察に基づく投動作の質的分析,画像解析で関節角度などを示した量的分析があるが,いずれも小学生の投動作のメカニズムを解明できていない.本研究は,小学生の投動作における運動依存力を定量化し,小学生の巧みな投動作の動力学メカニズムについて明らかにすることを目的とした.遠くへ投げることが得意な,あるいは苦手な小学生の投動作の機序に対する理解は,効果的な指導法を検討する際に役立ち,子どもの投能力の向上に貢献できる.
|
研究実績の概要 |
小学生の投動作に関する研究では、観察に基づく投動作の質的分析、画像解析で関節角度などを示した量的分析が実施されてきたが、いずれも小学生の投動作メカニズムの解明には至っていない。本研究は、小学生の投動作における運動依存力を定量化し、小学生の巧みな投動作の動力学メカニズムについて明らかにすることを目的とした。 2023年度は、前年度に検討した光学式モーションキャプチャーシステムに加えて、身体に再帰性反射マーカーを貼付しないマーカーレス・モーションキャプチャーによる測定方法についても検討をおこなった。投動作は投球腕を非常に速いスピードで動かすため、腕に貼付したマーカーが取れ落ちることが頻回にある。この点において、マーカーを必要としないマーカーレスシステムの利点は大きいが、肩の内外旋や前腕の回内外の測定精度がどの程度あるのか、光学式システムと比べて検証する必要がある。まだ比較・検証は充分ではないが、本研究の実験を想定したサンプルデータを収集することができた。 動力学メカニズムについては、2023年度は運動依存力を定量化する動力学的分析方法を検討した。その際、成人野球選手のピッチング動作を分析した先行研究の分析方法を参考とした。現状では、矢状面上における小学生の投動作について、肘関節を伸展させる関節トルク(NET)を、重力加速度によるトルク(GRA)、運動依存力によるトルク(INT)、肘関節の伸展筋群に由来するトルク(MUS)に分けた。この運動依存力によるトルクが分かると、熟達した野球選手のピッチング動作のように,小学生においてもボール速度などパフォーマンスの増大に運動依存力を利用できる巧みな投動作を探る大きな手掛かりとなり得る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では小学生のソフトボール投げを分析対象としている。小学校に研究協力を依頼する際は、学級の児童全員を同様に扱うことが求められる。これまで、体育授業の時間内で全員を計測し終えるために、反射マーカーの貼付が不要な高速度カメラで次々と児童を撮影するように行ってきた。しかし、この方法では前腕の回旋を計測することが難しい。そこで、本研究では前腕や上腕のみに反射マーカーを貼付し、モーションキャプチャー(前腕の回旋)と高速度カメラ(全身)を併用して、両システムのデータを統合する方法はある程度確立できた。tだし、反射マーカーの貼付が必要ないマーカーレス・モーションキャプチャーシステムが使用できることになったことから、測定の円滑度と測定の精度の両面から検討を続けている。また、動力学的分析方法については、矢状面上における小学生の投動作については確立できた。今後は3次元動作への対応を進める。
|
今後の研究の推進方策 |
熟練した成人の投動作に関する先行研究では、身体中枢部の運動によって末端部の運動、特に肘関節の伸展運動が引き起こされ、投球腕の手とボールが加速することが明らかになっている。このような力は運動依存力と呼ばれ、ボール速度などパフォーマンスの増大に運動依存力を利用できることは、巧みな投動作の大きな要因と考えられる。小学生において、運動依存力を効果的につかってパフォーマンスを高める巧みな投動作を示す児童、または遠くへ投げることが苦手な児童の投動作の動力学メカニズムを引き続き明らかにしていく。また、2024年度は、投動作において運動依存力を有効的に活用できているか定量化し、多くの小学生の動作データをもとに動力学メカニズムによる投動作のタイプ分けにも着手する。
|