研究課題/領域番号 |
22K17690
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 拓明 東北大学, 医工学研究科, 特任助教 (60926111)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | アミノトランスフェラーゼ / エネルギー代謝 / アミノ酸 / 骨格筋 / タンパク分解 / アミノ酸代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は, プロテアソーム分解産物であるペプチドを分解するアミノペプチダーゼの機能抑制は骨格筋の形成異常を引き起こすことを明らかにした. しかしアミノペプチダーゼ機能抑制によるペプチド分解の抑制が, なぜ骨格筋の異常を引き起こすか解明出来ていない. 本研究では, アミノ酸のATP利用に不可欠なアミノトランスフェラーゼに着目し, プロテアソーム/アミノペプチダーゼ/アミノトランスフェラーゼという一連のたんぱく質代謝によるATP産生が骨格筋の維持に寄与するのでないかと仮説を立てた. 骨格筋におけるアミノトランスフェラーゼの役割の解明は骨格筋機能の維持や増進法などの開発に貢献することが期待される.
|
研究実績の概要 |
アミノトランスフェラーゼ (AT) はアミノ酸をATPとして利用するために不可欠な分子である. これまで骨格筋におけるATの役割として, 分岐鎖アミノ酸 (BCAA) の代謝に関与するものが報告され, 体内のアミノ酸濃度や運動時のエネルギー供給に関与することが報告されている. しかしながら, 骨格筋における他のATの役割については解明されていないのが現状である. そこで本研究では, 骨格筋におけるATの役割を明らかにすることを目的としている. 昨年度は, 複数のATの阻害剤実験により, 培養筋細胞の生存・増殖・分化に及ぼす影響をスクリーニングし, 標的分子の探索を行なった. さらに, 標的分子のsiRNA実験を行い, 各AT特異的な培養筋細胞への影響を検証している段階でいる. ノックダウン実験では, 培養筋の増殖期における生存率や細胞数, 分化期における形態観察を実施してきた. 特定の分子の活性制御や遺伝子発現抑制が骨格筋細胞の増殖・分化といった恒常性にどのような影響を与えるのかを網羅的に解明していくことで, 骨格筋細胞の恒常性維持に必須となるアミノトランスフェラーゼ分子の探索を図っていく. また, アミノトランスフェラーゼによる代謝制御を検証すべく, 培養筋運動モデルを構築し, 筋収縮運動に伴う細胞内のATP動態を解析していく予定でいる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の実験計画では, siRNAによるノックダウン実験によって, 骨格筋細胞の恒常性に重要なアミノトランスフェラーゼ分子の特定をし, 特定の分子が培養筋細胞のエネルギー代謝に及ぼす影響を検証していく予定でいた. siRNA実験による細胞生存・増殖・分化に及ぼす影響を検証しているが, エネルギー代謝といった機能的解析が行えていないため, やや遅れていると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では骨格筋におけるアミノトランスフェラーゼ (AT) の役割を明らかにすることを目的とし,その解明をするために①骨格筋細胞におけるATの生理学的な役割の解明, ②骨格筋細胞の恒常性維持におけるATの分子機序の解明, ③ATによるアミノ酸代謝を介したエネルギー産生率の解明の研究計画を立てている. これまでに,50種近いAT分子の存在が報告されているが, 骨格筋におけるそれらの分子の役割は不明である. そこで初年度及び昨年度では, 本研究計画①及び②を基に, 骨格筋に発現するATに着目し, その分子の活性制御や遺伝子発現抑制が骨格筋細胞の増殖・分化といった恒常性にどのような影響をあたえるのかを網羅的に解明してきた. 今年度も引き続き, siRNAによるノックダウン実験を行い, 特定のATの遺伝子発現が骨格筋の形態や機能に及ぼす影響を検証していく予定でいる. これらの結果から, 骨格筋細胞の恒常性維持に必須となるAT分子に焦点を当て, どのような分子機序によりATが骨格筋細胞の恒常性維持に寄与するのかを解明する予定でいる (研究計画②及び③). 具体的には, RNA-sequence解析による網羅的な遺伝子発現変動を明らかにし, 関連するシグナル経路を絞り込み, さらにqPCRやウエスタンブロット解析による詳細な検証を行うことで, 標的とするATによる骨格筋細胞の恒常性維持に関与する分子メカニズムを解明する予定でいる.
|