研究課題/領域番号 |
22K17691
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中山 紗織 筑波大学, 体育系, 助教 (10912561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 選手育成 / 一貫指導 / 発育発達 / ハンドボール / 球技 / コーチング / 韓国 / ゴール型球技 / インタビュー調査 / 勝利至上主義 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本のスポーツでは小学生年代での勝利至上主義が問題視されている。その解決策として、長期的な視野に立った「個の育成」が目指されているが、明確な定義はないため、育成活動に大きな変化はないのが現状である。 本研究の目的は、ノルウェー、デンマーク、ブラジルにおけるハンドボール競技を対象に「個の育成」について調査することである。本目的の達成により、これまでとは異なる側面から「個の育成」をみることができ、現場の指導者に役立つ具体的な選手育成の考え方の提示に資する知見が得られると考える。
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研究実績の概要 |
ゴール型球技は、12-15歳頃からの専門化が推奨されている後期専門化スポーツに分類される。しかし、日本では小学生年代での勝利至上主義、すなわち早期専門化が問題視されている。その解決策として、小学生年代では長期的な視野に立った「個の育成」が目指されているが明確な定義はない。そのため、 指導者は各々が持つ独自の考えを基に選手を育成しており、育成活動に大きな変化はないのが現状である。本研究者は、これまでに日本およびドイツの取り組みを事例的に明らかにしている。今後、日独とは異なる方法で選手を育成している国外の取り組みを対象に「個の育成」について調査することは、これまでとは異なる側面から「個の育成」を捉え、既存の説明の枠組みでは通用しない考え方の理解へと繋がり、現場の指導者に役立つ知見が得られると考える。 令和5年度は、ハンドボール強豪国であるノルウェーおよびフランスを対象にそれぞれのハンドボール協会における小学生ハンドボールの専門家に対して「個の育成」についてインタビュー調査を実施した。また、個の育成に影響を及ぼすと考えられる大会使用球の変更について、その影響を記述的ゲームパフォーマンス分析を用いて明らかにした。さらに、オランダのユースポーツイノベーションセンター(Zwolle)を訪問し、青少年スポーツの専門家に対して個の育成に関するインタビュー調査を実施した。これらの研究成果については、国内外の学会において口頭発表し、国際誌において査読付き論文(2件)が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、韓国・ノルウェー・フランスにおける小学生ハンドボールの「個の育成」について明らかにすることができた。これらに加えて、近年のオランダ青少年スポーツを牽引する組織の一つであるユーススポーツイノベーションセンターを訪問し、青少年スポーツに関する取り組みについて調査できたことから、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、選手育成に関して異なる特徴を持つ国々を対象に小学生スポーツの理念についてインタビュー調査することができた。今後は、得られた成果を国内外の学会大会などにおいて口頭発表するとともに国際誌に投稿する。これらに加えて、今後は小学生スポーツの理念とそれを実現するための大会実施形式を国際比較することを予定している。小学生年代における国内外共通の課題として早期専門化や過度な勝利至上主義が挙げられており、その解決のために、全国小学生大会の実施形式が改革されている。しかし、小学生年代のコーチングにおいて目指される育成とは何か、その背景に設置されるべき理念は何か、それを実現するための大会はどうあるべきかについて未だ明らかになっていないためである。これらの研究を推進することで、現場の指導者や中央競技団体に役立つ具体的な大会実施形式の提示に資する知見が得られると考える。
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