研究課題/領域番号 |
22K17693
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹井 尚也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (90883900)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 低酸素 / 運動生理学 / トレーニング / 個人間変動 |
研究開始時の研究の概要 |
低酸素トレーニングは、アスリートの運動パフォーマンスを効果的に向上させるだけでなく、心循環系疾患を始めとする生活習慣病患者に対する非薬理学的療法としても注目されています。近年では低酸素発生機器などを用いることで、都市部においても容易に低酸素環境を利用することが可能となり、低酸素環境を用いた効果的なトレーニング処方法の必要性はより一層高まっています。しかし、低酸素トレーニング時の生理応答には、大きな個人差があることも知られています。本研究では、低酸素トレーニングに対する応答性の個人差に注目し、各個人のトレーニング効果を最大化するテーラーメイド型の低酸素トレーニング処方法の確立を目指します。
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研究実績の概要 |
低酸素環境での運動トレーニングはアスリートのトレーニングや健常者および傷病者の運動療法として用いられている。低酸素トレーニングでは、一般に中程度の低酸素環境(約14-16%O2)で行われる。しかしながら、低酸素環境への応答性には大きな個人差があり、同じ吸気酸素濃度を用いたとしても個人の生体内の酸素飽和度には大きなばらつき(個人間変動)がある。こうした生体内の生理応答の個人間変動は、低酸素トレーニングの効果に影響を与え、不均一なトレーニング効果につながる可能性がある。 今年度は以下の研究実績を得た。 1)低酸素環境(15%O2)での繰り返しスプリント運動時の血中酸素飽和度に大きな個人差(82.2-91.6%)があることが明らかとなった。また、この血中酸素飽和度の個人間変動と運動パフォーマンスの間には有意な相関関係(r=0.61, p=0.028)があり、血中酸素飽和度の低下が大きい人ほどパフォーマンスが低下するという関係が認められた。本研究結果は現在国際学術誌に投稿中である。 2)低酸素環境(15%O2)での繰り返しスプリントトレーニング(2週間、計6回)を行った際の、血中酸素飽和度の個人間変動とトレーニング効果の関係について検討した。その結果、血中酸素飽和度の低下が少ない人ほどトレーニング中の力発揮(トレーニングの強度・負荷)が維持され、良好なトレーニング効果が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたペースよりも早く研究を遂行できた。時間的な余裕が出来たため、これまでの研究結果によって生じた新たな疑問・課題を解決する研究遂行の準備も行えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、同一の低酸素濃度でも生体内の生理応答には個人差があることが明らかとなった。また、この生体内の生理応答の個人間変動がトレーニング効果にも影響を及ぼす可能性が示された。今後の研究推進方策として、吸気酸素濃度ではなく、生体内の酸素飽和度を一定にした場合の生理・パフォーマンス応答やトレーニング効果について明らかとしていく予定である。試験時に生体内の酸素飽和度を運動時にリアルタイムにモニターするために、体動による影響が少ない前額部での酸素モニター方法を確立している。
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