研究課題/領域番号 |
22K17712
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高御堂 良太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70908813)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 運動制御 / 運動学習 / 打撃動作 / 因果性解析 / 説明可能AI / 機械学習 / 間合い / 対人技能 / 相互作用 / 投球動作 / 動的時間伸縮法 / 相互相関分析 / 対人協調 / 打動作 |
研究開始時の研究の概要 |
チームメイトや対戦相手との協力・競争を伴う対人競技においては,各選手の行う身体運動は自らの運動が他者の運動に影響を与え,また他者の運動によって自らの運動も変化するという,他者との相互依存の関係にある。しかし,従来のスポーツ科学の「個」に着目をし た手法では,この依存関係を定量的に計測することは困難である。そこで本研究では,この問題点を解決するための新たな分析手法を考案し,その有効性を検証することを目的とする。具体的には実際の競技場面における動画から各競技者の3次元骨格情報を抽出し,因果性解析を適用することで,対人競技場面における個人間の身体運動の相互依存関係の定量化を行う.
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研究実績の概要 |
本年度は当初の予定通り、因果性解析を用いて、投手-打者間の分析を行った。具体的には、まず、鹿屋体育大学の協力の元、熟練の投手・打者の対戦時のデータをモーションキャプチャ等を用いて実験的に計測し、本研究を遂行するための基礎データとした。このデータは投手・打者の全身の身体関節の位置データであり、合計30を越える時系列データである。このデータに対して、非線型因果性解析のための機械学習手法の一種である、Neural Granger Causalityを用いて分析を行うことにより、投手・打者が対戦する際に、互いにどのような影響を及ぼし合っているか、すなわち、対人相互作用の解明に取り組んだ。上述のような多数の時系列データを用いた分析は従来の体育・スポーツ科学の手法では困難であるため、本研究では特に機械学習手法を応用した。結果として、(1)投手から打者への因果はその逆と比べて有意に大きいこと、(2)投手の投球腕や下肢の動きなどの情報が特に、打撃動作の生成に寄与していること、(3)打者から投手への因果は僅かなものであるが、打撃成績に対する説明率は50%を越えることなどを明らかにした。これらの研究結果から、当初の想定の通り、因果性解析を用いた対人相互作用の分析、という本研究のアプローチの有効性を示すことができたと考えている。その後、これらの実験結果を基に、学術論文を執筆し、国際誌への投稿を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
用いた分析手法は想定とは異なるものの、当初の想定の通り、因果性解析を実施することにより、投手・打者間の相互作用を定量的に解析することができた。また、それらの結果を学術論文の形でまとめて、予定通り国際誌への投稿を行うことができた。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度計測した実験データの分析を引き続き進めることにより、スポーツ場面における身体的な相互作用(間合い)に関して、より詳細な知見を得ることを予定している。また、ビデオカメラと骨格認識ソフトウェア等を用いて、リアルタイムに間合いの良し・悪しをフィードバックする学習システムに関しても、設計・開発を行なっていく予定である。
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