研究課題/領域番号 |
22K17718
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
野上 玲子 江戸川大学, 社会学部, 講師 (80825224)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | オリンピック / 全体主義 / ハンナ・アーレント / 大衆 / 政治 / スポーツ / 哲学的探究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、オリンピックと「大衆」が織り成す全体主義の理論的構造を検討した上で、オリンピック開催に伴う問題の真意を明らかにすることである。東京2020オリンピック・パラリンピック大会は、新型コロナウィルス感染拡大の懸念から「中止すべき」という声が高まっていた。しかし、「とにかく、開催する」という独裁政治のような対応が続き、強行開催された。これはオリンピックと日本社会が抱える「全体主義」という病理を象徴している。本研究は、オリンピックと「大衆」の様相を分析し、哲学的思考を確保しながら、オリンピック開催に伴う全体主義の病理構造を明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究成果については、以下の通りである。 ①1件の学会発表:2023年8月に開催された、日本体育・スポーツ哲学会第45回大会において、本研究の中核となる「全体主義運動の規範理論 -政治と「大衆」の関係を手がかりとして-」を口頭発表した。これまでは、全体主義という現象には他にも注目すべき実態があるものの、東京大会と全体主義運動による接点にとどまり、オリンピックにおける全体主義運動の理解に向けての理論的および構造的な検証が不十分であった。そのため、一概に、オリンピック=全体主義と規定してしまうには早計であったため、これまでオリンピックが社会にもたらしてきた政治的な影響も踏まえて、オリンピックにおける全体主義運動と「大衆」の関係性による理論構築に迫った。学会では、さまざまな参考意見をもらい、その意見を踏まえて、現在、原著論文としてまとめている段階である。 ②2件の書評執筆:「体育・スポーツ哲学研究」に、舛本直文(2019)『オリンピックは平和の祭典』(大修館書店)の書評、「スポーツ文化研究」に、阿部潔『シニカルな祭典-東京2020オリンピックが映す現代日本-』の書評を執筆した。いずれも依頼された書評である。 ③2件の招待発表:日本体育・スポーツ・健康学会が主催する企画に、「アーリーキャリアの過ごし方と必要なサポート-博論・就職・テニュア-」という題目のもと発表した。また、カルチュラル・スタディーズ学会にて、「『シニカルな祭典』ー東京2020オリンピックが映す現代日本ー」の本の合評会が開催され、登壇し発表した。 いずれもオリンピックに関する内容であり、本研究課題における知見を深める良い機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の進捗状況は、予定していた状況より、やや遅れている。2023年度中に一本の査読付き投稿論文を掲載する予定であったが、未だ論文をまとめられていない状況である。すでに、投稿を予定している内容については学会発表済みであるため、今後はその発表した内容と、発表の質疑応答で得られた内容についてまとめ、論文として仕上げていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず論文を書き上げ、そして今年予定されている学会での発表内容を準備していく。特に、8月に予定されている日本体育・スポーツ・健康学会では、「スポーツと平和」を題目としたシンポジストとし依頼されているため、その準備をしながら、本研究課題における知見も深めていく予定である。 また、本年度はオリンピック・パラリンピックのパリ大会が開催されるため、その開催に向けた世界情勢についても資料を集め、本研究の推進に役立てていく予定である。
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