研究課題/領域番号 |
22K17769
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大野 博 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20847909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脂肪酸 / ニューロン / マイクロドメイン |
研究開始時の研究の概要 |
脳は多彩で豊富な脂質を含み、その量的・質的な変化は、脳機能に影響をおよぼすことが知られている。申請者は、脂肪酸伸長酵素Elovl6の欠損により、空間学習や恐怖記憶の障害が認められること、樹状突起スパインの形態に異常をきたすことを見出している。本研究では、Elovl6による脂肪酸組成の制御が、樹状突起スパインの形態や神経回路網の形成を制御するメカニズムを分子レベルで明らかにし、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病のような神経変性疾患の新規予防法・治療法の開発に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
脂肪酸伸長酵素Elovl6を脳特異的に欠損させたマウス(BKO)は、脳重量の増加、神経新生の低下や樹状突起スパインの形態異常が認められ、モリス水迷路による空間学習・記憶やステップスルーテストにおける恐怖記憶の評価において、ともに障害が認められ、高次脳機能が障害されていることを見出した。そこで、本研究ではsynapsin-creとElovl6 floxマウスを掛け合わせた神経特異的Elovl6欠損(NKO)マウスを作製し、神経におけるElovl6の役割を解析し、神経での脂質多様性が高次脳機能におよぼす影響を検討することを目的として研究をおこなった。NKOマウスはfloxマウスと比較してBKO同様脳重量の増加が認められた。また、空間学習・記憶の障害も認められた。しかしながら、脳重量や記憶の障害といった表現型はBKOと比較すると、その変化は軽微であることも明らかになった。また、ゴルジ染色における樹状突起スパインの評価に関しても、形態異常の傾向が観察された。以上の結果より、Elovl6は神経においても重要であり、神経における脂質多様性の制御は高次脳機能の制御に重要であることが示唆されるが、一方で、グリア細胞のような他の細胞との相互作用も重要であることが示唆され、今後、神経における評価とともに、相互作用の解析などもおこない、脂質多様性の基軸とした神経回路網の形成やそれに伴う高次脳機能制御機構を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経特異的なElovl6欠損マウスを作製し、その表現型解析をはじめ、神経における脂質多様性の制御機構の解明に向けた準備も進んでいるため
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今後の研究の推進方策 |
神経における脂質多様性の重要性を明らかとするため、イメージングMSやリピドミクス解析をおこない、神経機能や回路網形成時の脂質プロファイルを評価する。また、シナプス機能や神経-神経間、神経-グリア細胞の相互作用の評価をおこない、脂質多様性の変化とそれに伴う機能変化を解析していく。
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