研究課題/領域番号 |
22K17778
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中本 晶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803536)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フラボノイド / マクロファージ / M2 / 抗肥満 / メトキシ基 / ポリメトキシフラボノイド / IL-4 / メタボリックシンドローム |
研究開始時の研究の概要 |
柑橘類由来ポリメトキシフラボノイド(PMF)のIL-4産生誘導シグナルの新たな機能制御を解明し、T細胞からのIL-4産生増強作用をメタボリックシンドローム療法に応用し新たな治療戦略の基盤的知見を構築する。多数存在するPMFの中から抗炎症性マクロファージの分化誘導に関わるIL-4産生を高める物質をスクリーニングし、構造上の特徴であるメトキシ基の数および結合部位の構造生物学的な解析を行う。PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心に解析し、IL-4による抗炎症マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用およびPMFが生体内代謝系に及ぼす影響についてマウスモデルを用いて明らかにする。
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研究実績の概要 |
メタボリックシンドロームは慢性炎症を起因とする全身性の代謝異常を引き起こす疾患であり、慢性炎症の誘発には脂肪組織内のマクロファージが主体であるともされている。さらにその上流にはT細胞が存在し、T細胞から放出されるIFN-γにより炎症性マクロファージ(M1)へ、IL-4により抗炎症性のマクロファージ(M2)へと分極する。 多数のメトキシ基を保有するポリメトキシフラボノイド(polymethoxyflavonoid; PMF)と慢性炎症疾患の発症に関与する免疫細胞との関連に着目し、PMFの中からIL-4産生増強作用をもつ物質をスクリーニングし、マウスモデルを用いてIL-4による抗炎症マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用を明らかにし、慢性炎症疾患の発症抑制に関する基盤的研究となることを目指している。 これまでにT細胞からのIL-4産生を増強させるPMFの化学構造的特徴を明らかにしたところ、メトキシ基を6つ以上保有するPMFがIL-4産生増強作用を有することが示された。そこで今回、そのPMF(ノビレチン)を用いて抗肥満作用および脂肪組織でのマクロファージ分極作用についてモデルマウスを用いて検討した。高脂肪食摂餌マウスに対し、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液中に溶解したノビレチン(100mg/体重kg/日)を毎日経口投与し、高脂肪食摂餌2週または4週間目に解剖を行った。脂肪組織中のマクロファージ割合を検討したところ、ノビレチン投与によりM1割合が減少し、M2割合が増加した。また脂肪組織中の遺伝子発現について検討したところ、ノビレチン投与群でM2への分極を制御する遺伝子発現が上昇していたことが示された。これにより、ノビレチンがM2分極制御遺伝子の発現を制御し、M2割合を増加させることで抗肥満作用を有する可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数のメトキシ基を保有するポリメトキシフラボノイド(polymethoxyflavonoid; PMF)およびメタボリックシンドロームなどの慢性炎症疾患の発症に関与する免疫細胞との関連に着目し、慢性炎症疾患の発症抑制に関する基盤的研究として(1)多数存在するPMFの中から抗炎症性マクロファージの分化誘導に関わるIL-4産生増強作用をもつ物質をスクリーニングし、メトキシ基数および結合部位の構造生物学的な解析、(2)PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心とした解析、(3)IL-4による抗炎症M2マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用をマウスモデルで解析、(4)PMFが生体内代謝系に及ぼす影響について網羅解析を行い、明らかにすることを計画している。 今回、IL-4産生増強作用を有するPMFを用いてマクロファージ分極について検討したところ、抗炎症M2マクロファージへの分極が認められた。さらに(3)のモデルマウスを用いて検討を行ったところ、PMF投与マウスでは抗肥満作用を有することを確認するとともに、脂肪組織中のM2マクロファージ数の増加を確認した。以上の理由により、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
多数のメトキシ基を保有するPMFおよびメタボリックシンドロームなどの慢性炎症疾患の発症に関与する免疫細胞との関連に着目し、慢性炎症疾患の発症抑制に関する基盤的研究として(1)多数存在するPMFの中から抗炎症性マクロファージの分化誘導に関わるIL-4産生増強作用をもつ物質をスクリーニングし、メトキシ基数および結合部位の構造生物学的な解析、(2)PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心とした解析、(3)IL-4による抗炎症M2マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用をマウスモデルで解析、(4)PMFが生体内代謝系に及ぼす影響について網羅解析を行い、明らかにすることを計画している。 これまでの検討により、(2)のT細胞におけるIL-4誘導機構に関連する転写因子だけでなく、抗炎症性マクロファージの分極に関与する転写因子の発現調節への関与が考えられるため、遺伝子発現調節機構に焦点をあてて解析を進めていく予定である。
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