研究課題/領域番号 |
22K17781
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
山口 桃生 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30804819)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 肝線維化 / 肝実質細胞 / 肝星細胞 / アデノシン / 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD) / 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / 肝星細胞(HSC) / アデノシン動態 / 脂肪酸 / NASH進行のスイッチ / NASH |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患から、線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への進行には、肝星細胞(HSC)の活性化が必須である。申請者らは、HSCへのアデノシン(Ado)刺激の有無により、炎症性物質PGE2のHSC活性化に対する作用が反転すること、NASHモデルマウスの肝実質細胞において、Ado動態に関わるAdo輸送担体やAdo分解酵素の発現が減少していることを見出している。これらの知見より「肝実質細胞による肝臓内Ado動態の変化が炎症時のNASH進行へのスイッチとなる」という仮説を立てた。本研究では、この仮説を証明し、NASHの予防法や治療法への応用につながる基盤的知見を得る。
|
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の一部は、線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行する。肝星細胞(HSC)は肝傷害時にコラーゲンを分泌する活性型に形質転換することから、NASH進行にはHSCの活性化が必須である。本研究では、肝臓内アデノシン動態の変化が炎症時のHSC活性化促進、すなわちNASH進行へのスイッチとなる、という仮説を証明し、NASHの予防法や治療法への応用につながる基盤的知見を得ることを目的とする。 本年度は、アデノシン受容体阻害下PGE2によるHSC活性化抑制作用機序を解明した。アデノシン受容体阻害下におけるPGE2によるHSC活性化抑制作用には、PGE2とアデノシンの受容体の共通経路である細胞内cAMPの変化は関与しないことを既に証明している(Biomed. &Pharmacother. 2021)。そこで、mRNA-seqを用いたGOエンリッチメント解析を行ったところ、アデノシン受容体阻害下PGE2処置群にのみグルタチオン代謝経路の濃縮が認められ、アデノシン受容体阻害下PGE2がHSC活性化抑制作用を示す要因としてGSTA4を見出した。GSTA4をノックダウンしたところ、アデノシン受容体阻害下PGE2によるHSC活性化抑制作用が消失した。また、アデノシン受容体阻害下PGE2は、GSTA4の発現量、およびNRF2の核局在、転写活性を亢進させた。すなわち、アデノシン受容体阻害下においてPGE2は、NRF2の核局在を促進し、GSTA4の転写を亢進させることでHSCの活性化を強く抑制することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の出産育児休暇に伴い6ヶ月間の研究中断があったため、予定より少し遅れている。 また、動物実験施設において実験動物への原虫感染被害が生じ、実験動物の原虫駆除等のために一時動物実験を中断せざるを得なくなったため。
|
今後の研究の推進方策 |
NASH発症と肝臓内アデノシン動態との関係を明らかにする。また、NASHモデルマウスの肝臓において、ENT、ADAの発現が減少する機序を解明し、NASH進行スイッチとしての肝臓内アデノシン動態変化の分子基盤を確立する。
|