研究課題/領域番号 |
22K17793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
川口 耕一郎 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 講師 (10794274)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大腸がん / 肥満 / 炎症 / 脂肪酸結合タンパク質 / 細胞老化 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸がんは我が国において最も罹患率の高いがんである。大腸がん患者増加の主な要因として、肥満や生活習慣病の増加が示唆されているが、肥満と大腸がんを結びつける分子機序は明らかになっていない。申請者は以前に、上皮細胞型脂肪酸結合タンパク質(FABP5)が細胞の代謝制御を介して大腸がんの悪性化に関与すること、さらに、組織中にある老化細胞ががん細胞の悪性化に関与するメカニズムを明らかにした。 本研究課題では、肥満により増加する脂肪組織内の老化細胞に着目し、FABP5を介する代謝変動による炎症性シグナル活性化機構を解析することで、肥満に伴う炎症や代謝異常と大腸がんを結びつける分子基盤を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、肥満により増加する脂肪組織内の老化細胞に着目し、FABP5を介する代謝変動による炎症性シグナル活性化機構を解析することで、肥満に伴う炎症や代謝異常と大腸がんを結びつける分子基盤を確立することを目指している。2023年度は、大腸がん細胞で悪性度依存的に炎症系シグナルが活性化するメカニズムをFABP5に着目して解析した。 まず、大腸がん細胞でFABP5の発現がどのように制御されているのかを解析したところ、FABP5はプロモーター領域が悪性度依存的に脱メチル化され、その発現は転写因子NFκBにより直接制御されていることがわかった。次に、プロモーター領域が脱メチル化されるメカニズムを解析したところ、DNAメチル化酵素DNMT3B2(活性型)の発現量が大腸がん細胞の悪性度依存的に低下していることを見出した。悪性度の高い大腸がん細胞では活性型のDNMT3B2の代わりに不活性型のスプライシングバリアントであるDNMT3B3やDNMT3B4の発現量が上昇していたことから、mRNAのスプライシング機構の変動によるエピジェネティック制御の破綻が、大腸がん細胞におけるFABP5の高発現に関与している可能性が示唆された。さらに、大腸がん細胞におけるFABP5の機能解析を進め、悪性度の高い大腸がん細胞では、NFκB依存的に発現したFABP5がIL-8の発現を介してNFκBシグナルを活性化するフィードフォワードループを形成していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属研究機関の動物実験施設の不具合により動物実験に遅れが生じているため、研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では肥満や、それに伴う炎症・代謝異常が大腸がん発症・悪性化にどのように関与しているのかを、脂肪組織内の老化細胞の代謝変動(特にFABP5を介する脂質代謝)に着目して解析することを目的としている。現在、FABP5ノックアウトマウスの育成を準備しており、次年度中頃にはノックアウトマウスを用いた実験を行い、肥満と大腸がん発症との関連をFABP5を中心とした脂質代謝に着目して解析する。
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